• 2022.10.04
  • 声明・決議・意見書

調停委員・司法委員・参与員の任命にあたり国籍を問わないことを求める会長声明

 これまで、各地の弁護士会において、地方・家庭裁判所からの調停委員・司法委員・参与員(以下「調停委員等」という。)の弁護士委員の推薦依頼に基づき、外国籍の会員を推薦したところ、各裁判所から、各弁護士会で推薦した外国籍会員を最高裁判所に上申しないとの回答が繰り返されてきました。
 これは、最高裁判所の運用により、外国籍の会員に対する調停委員等の任命が拒否されていることを理由とするものです。
 しかし、最高裁判所のかかる運用は法律上の根拠に基づくものではありません。
 最高裁判所規則において、調停委員については「弁護士となる資格を有する者、民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満」であることを任命資格として定めてられており、国籍を要件とする記載はなく、欠格事由の定めの中にも国籍等を欠格事由とする規定はありません。司法委員及び参与員についても同様です。
 また、かかる運用は調停委員等の具体的職務内容を踏まえることなく、日本国籍の有無のみで一律に異なる取扱をするものです。
 「公権力行使等公務」に外国人が就任することは、日本の法体系の想定するところではないとする最高裁判所の判決(最大判平成17年1月26日)がありますが、その当否は措くとしても、調停委員等の具体的職務内容は「公権力行使等公務」には該当しないと考えられます。
 調停制度の目的は、市民の間の民事もしくは家事の紛争を、当事者の話し合いおよび合意に基づき、裁判手続に至る前に解決することにあり、調停委員の役割は、専門的知識もしくは社会生活の上での豊富な知識経験を活かして、当事者双方の話し合いの中で、助言や斡旋、解決案の提示を行い、合意を促して、当事者の互譲による紛争解決を支援することにあるからです。
 また、司法委員及び参与員に関しては、裁判所が必要と認めるときに、和解の補助をしたり、事件について意見を述べたりすることが認められていますが、その職務内容が公権力行使等に該当しないことは明らかです。
 以上から、最高裁判所が、外国籍の会員に対して調停委員等の任命を拒否することは、国籍を理由とする不合理な差別であって、憲法14条、国際人権(自由権)規約26条及び人種差別撤廃条約5条の平等原則に反することは明らかです。
 当会にも少なからぬ外国籍会員がいる中、この問題は決して看過できません。
 日本国籍を有しない者が調停委員等に就任することは、ダイバーシティー&インクルージョンの観点から、多民族多文化共生社会の実現にも資する望ましいことと考えます。
 よって、当会は、最高裁判所に対して、これまでの運用を改め、調停委員・司法委員・参与員の任命にあたり、国籍を問わないことを強く求めます。

2022年(令和4年)10月4日
            第一東京弁護士会 
会長   松 村 眞理子

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