法教育・模擬裁判

次世代を担う若い人たちのための法教育

mogi_img01.jpg 学習指導要領にも取り上げられ、注目を集める法教育。
 法とは何か、どのように作られ、用いられるのかについて、知識だけではなく、その基礎にある自由・平等・公正などの原理・価値を教えるとともに、その知識を応用して使いこなすスキルと、主体的に行動する意欲と態度を身につけるための教育が法教育だと私たちは考えています。
 第一東京弁護士会では、学校における法教育をサポートするため、小学校 · 中学校 · 高等学校への講師派遣に特に力を入れています。
 また、企業向けに、裁判員制度のための講演や模擬裁判実施も行っております。
 ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

市民・企業・学校教育向けの出張講義・講演

講義・講演について

所要時間:原則2コマ(45~50分×2)

講演
  • 司法制度について
  • 弁護士の役割について
  • 裁判員制度について
  • 学校 · 社会における法教育のありかたについて
  • 法教育授業に関する学校教員研修
  • その他
指導
  • ディベートのアドバイザー
  • 法廷見学のアドバイザー
  • 裁判員裁判の評議体験プログラム
  • 模擬裁判プログラム
  • その他

刑事模擬裁判

刑事模擬裁判(裁判員裁判の体験)(対象:小学校高学年・中学生・高校生)

 対象児童・生徒の発達段階に応じたシナリオを使い、生徒が中心になって刑事裁判を演じます。その後、裁判員になったつもりで判決について議論(評議)をします。生徒が反対尋問を考えるプログラムや、裁判部分のDVDを見て評議のみを行うプログラムもあります。刑事裁判の仕組み・意義を理解するだけではなく、他者との評議による事実の多角的検討を学びます。
 「生徒たち自身による模擬裁判の指導 · 解説」は、第一東京弁護士会が全国の他弁護士会に先駆けて始めた活動ということもあり、私たちも、とりわけ力を入れています。現在では、年に10数校以上の中学校 · 高等学校で模擬裁判を実施しており、生徒 · 先生からも高い評価をいただいています。

模擬裁判実施の流れ(事前準備)

 模擬裁判のご指導を担当される先生から、実施希望日の2ヶ月前までに弁護士派遣のお申し込みをいただきます。
 連絡担当弁護士とご担当の先生で、模擬裁判の実施日時やご希望のシナリオ(強盗、詐欺、窃盗など、色々な事案を用意しています)を決定し、連絡担当弁護士からご担当の先生宛に、模擬裁判のシナリオ等を郵送いたします。
 ※お送りする資料は概ね、以下のとおりです。

  • (1)模擬裁判の進め方(指導担当先生用)
  • (2)模擬裁判の流れ(生徒用)
  • (3)模擬裁判シナリオ
  • (4)事件のあらまし
  • (5)起訴状(検察官役用)
  • (6)宣誓書(証人役使用)
  • (7)判決書(裁判官役用)
  • (8)アンケート用紙

 ご担当の先生のご指導のもと、配役(裁判官・検察官・弁護人・被告人・証人)、配役別の打ち合わせ、リハーサル、基礎学習等を行って頂きます。
 ※事前準備は原則としてご担当の先生のご指導のもとで行っていただきますが、本番までに疑問点等が出てきた場合には、「連絡担当弁護士」が随時、ご相談に乗らせていただきます。

模擬裁判実施の流れ(当日)

 実際に行われた模擬裁判の写真をもとに、模擬裁判当日の流れをご説明します。
 ※写真協力 東京女子学園中学校、朝日中学校、桜蔭学園高等学校

事件のあらまし(池袋強盗事件・無罪主張ヴァージョン)

 被害者は、仕事を終わって駅に向かう途中の公園で、2人組の男性に襲われ財布を奪われました。被害者が助けを求めようと公園の出口に歩いていくと、ちょうど警察官が2人組のうちの1人を呼び止めて話をしていました。被害者が警察官に「その人は強盗だから捕まえて!」と叫んだため、その男はその場で逮捕されましたが、もう1人の男は逃げてしまいました。その後、逮捕された男が共犯者として名前を挙げたため、被告人が逮捕され、今回の裁判にかけられることになりました。
 被告人は先に逮捕された男との関係について、幼馴染みであること、事件の直前、一緒に居酒屋で酒を飲んでいたことなどは認めていますが、居酒屋を出た後は彼と別れて家に帰ったと主張しています。

冒頭手続

冒頭手続

 刑事裁判では、証拠を取り調べる前に、以下のような手続きを踏みます。

  • (1)人定質問...... 裁判長が法廷にいる被告人が人違いでないかどうかを確かめます。
  • (2)起訴状朗読...... 検察官が起訴状を朗読します。
  • (3)黙秘権の告知...... 裁判長が被告人に対して「黙秘権」があることを告げます。
  • (4)認否...... 裁判長が、起訴状に書かれた犯罪事実についての意見を被告人と弁護人に尋ねます。今回のシナリオでは、被告人も弁護人も「起訴状に書かれている事実はない。無実である。」と主張しました。
冒頭手続

証拠調べ

 冒頭手続が終わると、証拠調べを行います。証拠調べ手続は、以下のような流れで行われます。

  • (1)冒頭陳述...... 検察官は、証拠調べの最初に、証拠によって証明しようとする具体的な事実を陳述します。
  • (2)証拠調べ請求...... 公判前整理手続で公判廷に提出されることとなった検察側弁護側の各証拠が取り調べられます。また、証人として被害者と共犯者を尋問することになりました。
証拠調べ

証人尋問(被害者)

 被害者の女性を演じたのは派遣弁護士の一人です。
 今回のシナリオでは、被告人は犯人の一人であることに間違いないこと、証拠として提出されている「1000円札」にメモされている電話番号は自分が書いた取引先の電話番号であること、警察署で被告人の顔を確認した時の状況などについて証言をしました。
 犯人と直接 接触した被害者の証言は判決の内容を大きく左右するので、検察官役・弁護人役とも熱の入った演技になりました。

証人尋問(被害者)

証人尋問(共犯者)

 共犯者を演じたのは派遣弁護士の一人です。
 共犯者は、被告人と強盗を計画した時の状況、犯行時の状況、犯行後の行動などを証言しました。検察官役は証人の証言がいかに真実味を持っているかを、逆に弁護人役は証人の証言がいかに矛盾しているかを、それぞれ裁判官役に伝えようと、懸命の演技でした。

証人尋問(共犯者)

被告人質問

 弁護人の申請により、被告人質問が行われました。これは、被告人自身に、今回起訴されている犯罪事実や、その前後の状況などについて質問する手続です。被告人自身の言葉も、他の証拠と同様に有罪・無罪を決めるための「証拠」となります。

 被告人を演じたのは指導担当の先生です。
 傍聴席の生徒も、先生のいつもとは違った「熱演」(?)に惹き込まれてしまいました。
 被告人は、共犯者と犯行当日、居酒屋にいたことは認めましたが、逮捕された時に持っていた「被害者の取引先の電話番号がメモされた1000円札」については、被害者の会社近くのコンビニで買い物をした際に、お釣りとして受け取ったものであることなどを証言しました。
 裁判官役の生徒さんは、シナリオにはかかれていない質問を証人にぶつけて証言が信用できるものであるかどうかを判断しようと一生懸命です。

証人尋問(共犯者)

論告 · 求刑

 すべての証拠調べが終了した後、検察官は起訴した犯罪事実とそれに対してどのような法律を適用すべきかについて意見を述べます(論告)。
 論告と同時に、検察官は今回の犯罪に対してどの程度の刑を科すのが相当と考えるのかについての意見も述べます(求刑)。シナリオにはこの「求刑」の具体的な数字は書かれていません。検察官役の生徒が事前に打合せをして、自分たちが「相当だ」と考える刑期の長さをシナリオに書き込みます。

論告・求刑

最終弁論

 検察官の論告・求刑に対して、弁護人が最後の意見を述べます。今回のシナリオでは被告人が無罪を主張しているので、弁護人も「法廷には被告人を有罪にできるだけの証拠は提出されていない。」と強く主張します。
 裁判官に被告人の無罪を訴えられる最後の機会ですから、弁護人役の生徒の台詞も自然に熱を帯びてきます。

最終弁論

合議

 裁判官役の生徒たちは別室に移って、どのような判決にすべきかを会議します(合議)。シナリオには、判決の内容は書かれていません。裁判官役の生徒が、これまでの提出された証言や証拠(被告人にとって有利なものも不利なものも全て含めて)をもとに、自分たちで悩み、考えて、判決を決めます。  派遣弁護士もオブザーバーとして合議に参加しますが、裁判官役の生徒が壁にぶつかった時に手助けをするだけで、決して自分の結論を述べたり、押しつけたりはしません。
 「模擬裁判」とはいえ、一人の人間の有罪・無罪を自分たちの判断だけで決めなければならないのですから責任重大です。多くの学校では、予定された時間をオーバーして白熱した合議が展開されます。

合議

判決言渡

 白熱した合議の結果、判決が言い渡されました。
 自分たちの主張が通った側は満足げな表情、反対に自分たちの主張が通らなかった側はがっかりです。

判決言渡

派遣弁護士による解説

 最後に、派遣弁護士が模擬裁判の解説を行います。
解説では、個々の証拠や証言の評価(一見、●●は被告人に不利な証拠にも見えるが、視点を変えたり他の証拠との関係で評価すると別の結論にも結びつく、など)だけにとどまらず、実際の刑事裁判手続のポイントなどについても解説をします。
 解説の後には、質問も受け付けます。
 質問は模擬裁判の内容に限らず、広く「弁護士」あるいは「法律家」についてのものも受け付けています。
 しばしば寄せられる質問としては、「明らかに真犯人と分かっている人を弁護する時の気持ちは?」など、刑事弁護の本質にかかわるものも多く、生徒さんの熱意が伝わってきます。

判決言渡

その他の子ども向けの授業・プログラム

出張授業の例

 民事の模擬裁判、裁判員評議体験プログラム、配分的正義ルール作りなどをテーマにした ディスカッション、各種講演等、幅広いプログラムを提供しています。

これって公平?不公平?(対象:小学校高学年)

 兄弟間での食べ物の分け方、リレーの選手の決め方など、いくつかの設定で、公平かどうかを考えてもらいます(配分的正義)。形式的な平等が必ずしも公平ではない場合があることを理解してもらいます。

わたしたちと法~ルール・権威 (対象:小学校高学年)

 ルールのない世界の物語を読み進めながら、ルールや法の意義・三権分立・ルール評価などを学びます。

模擬調停・民事模擬裁判(対象:小学校高学年・中学生・高校生)

 友人同士のトラブル・ご近所問題などの身近な題材を使い、各自が利害の対立する当事者の1人、あるいは仲裁をする立場になって、調停方式で紛争解決方法を考えます。民事裁判を行うプログラムもあります。対立と合意、利害関係の調整などを学びます。

ルール作り(対象:小学校高学年・中学生)

 マンションのペット問題・体育館をつかうクラブ同士の調整などの身近な題材を使い、各自が利害の対立する当事者の1人になりきって、各班におけるディスカッションにより紛争解決方法(ルール)を考えます。ルールや法の意義・ルール評価などを学びます。

「契約」って何だろう?(対象:中学生)

 中古自転車の売買を行うという設定で、買主又は売主に扮して契約内容について交渉を行い、契約書を作成します。自分や他者の権利・利益を守るために「きまり」を定める必要があることなどを学び、どのような「きまり」を定めたら良いのかを考えます。

公平に分けるには?(対象:中学生・高校生)

 避難所に届けられたシュークリームをどう分ければ公平なのか、限られた税金をどう使うべきかなどの題材を用いて、配分的正義について考え、具体的な提案をしてもらいます。

これは差別でしょうか(対象:中学生・高校生)

 男女差別・年齢による差別などが問題になった実際の裁判を題材にしたテーマを検討します。 憲法14条(平等原則)や配分的正義について学びます。

法律を作ってみよう(対象:中学生・高校生)

 実際に裁判等で争われた題材を用いて、提案されている法案の是非や改正案を検討します。 法の意義、公平と効率、望ましい法律の条件について学びます。

解雇は有効?無効?(対象:高校生)

 労働問題について考えてもらいます。架空の事例を用いて、求人票をどう見るべきか、解雇はどのような場合に認められるのかを検討してもらいます。

マニフェストを作成しよう(対象:高校生)

 複数の社会問題のうちどの問題を解決するために国の財源を使用するべきか、飲酒及び喫煙を解禁する年齢を変更すべきかなどのテーマについて、マニフェスト(選挙公約)の内容を考えます。様々な意見や資料を考慮しマニフェストを作成することを通じて、公平と効率、民主主義、選挙権などについて考えを深めます。

講演

 裁判、弁護士の仕事、いじめ問題、人権問題など、学校からの要望にお応えして様々なテーマでの講演にも応じています。

ジュニアロースクール

夏休み、春休みなどを用いて、子ども向け法教育のプログラムを開催しています。

実施日時 · 場所 · 費用(ジュニアロースクールは除く)

 実施日時は、貴校 · 貴社のご希望に合わせて決めさせていただきますが、担当弁護士のスケジュールや、他校の実施日時との調整の関係上、実施希望日の2ヵ月前迄にご連絡ください。
 場所は、原則として貴校 · 貴社に弁護士が出向いて実施いたします。但し、原則として東京都内に限らせて頂きます。
 参加される生徒 · 社員の方の人数に合わせて、講堂、体育館、通常教室、会議室等、適宜の場所をご用意ください。

※2022年4月以降の派遣につきましては、派遣授業料として1万円(税込)(原則2コマ・弁護士3名以内
 の場合)を頂戴します。

申込書送付 · 問い合わせ先

第一東京弁護士会

 以下の申込書をダウンロードしていただき、所定の事項をご記入のうえ、ファクシミリにて当会までお送りください。また、ご不明な点があれば、以下の問い合わせ先までご連絡ください。

電話:03-3595-8582 FAX:03-3595-8577

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