• 2022.09.30
  • 声明・決議・意見書

「谷間世代」の不平等及び給付制度の是正を求める会長声明

 平成29年4月に司法修習生への新しい給付制度を設ける「裁判所法の一部を改正する法律」が成立し、同年12月から司法修習生に対して基本給付金等を支給する制度の運用が開始され、この制度の適用を受けた71期から74期の司法修習生は既に法曹として活躍している。
 当会は、同年5月29日の当会会長声明で述べたとおりこの給付制度の創設を評価する。しかしながら、この給付制度で、司法修習生に対して支払われる月額13万5000円の給付金額は、司法修習に専念するには不十分であると言わざるを得ない。
 また、いわゆる「谷間世代」といわれる新65期から70期までの司法修習を経た者に対する是正措置は何ら設けられていない。「谷間世代」は約1万1000人、全法曹の約4分の1を占めているが、この世代のみが司法修習中に給付を受けられずに法曹のスタートラインで経済的負担を抱えるという不平等な状態が生じる結果となっていることは看過できない。
 さらに当会は、本年4月から5月にかけて、「谷間世代」の会員1,351名に対するアンケート調査を実施し216件の回答を得た。このアンケート調査の回答者のほぼ全員が他の世代との不均衡の是正を求めており、修習期の違いによる経済的負担を不公平と感じていることが改めて確認された。また、回答者の8割近くが貸与を受けており、その理由が修習専念義務を課されていることにより他に収入がなく生活費のためであったこともあらためて明らかになった。
 当会においても「谷間世代」に該当する弁護士会員の数は全会員の約4分の1を占めており、当会、ひいては我が国の司法インフラを支える大きな柱となっていることからも、上記のような会員の不公平感、不平等感を放置しておくことはできない。
 当会は、日弁連や他の単位会と協力しながら、引き続き、「谷間世代」の不平等の是正及び新給付制度の不十分な点の解消に向けて活動を進めていく所存である。

2022年(令和4年)9月30日
            第一東京弁護士会 
会長   松 村 眞理子

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