• 2018.12.11
  • 声明・決議・意見書

いわゆる谷間世代の不平等是正に関する会長声明

 平成29年4月19日に、司法修習生への新しい給付制度を設ける「裁判所法の一部を改正する法律」が成立し、同年12月から、司法修習生に対して、基本給付金、住居給付金及び移転給付金を支給しつつ、これに不足する金額は修習専念資金として貸与する制度の運用が開始された。この制度の適用を初めて受けた71期司法修習生が司法修習を終え、まもなく法曹としての第一歩を踏み出そうとしている。
 当会は、改めて、この新しい給付制度の創設を歓迎し、ご尽力くださった関係者に心から感謝を申し上げる。
 他方で、平成29年5月29日の当会会長声明で述べたとおり、この新給付制度には不十分な点が残るとともに、同制度の創設によって、谷間世代といわれる新65期から70期までの司法修習を経た者のみが司法修習中に給付を受けられなかったという不平等な状態が生じる結果となった。
 新65期の修習を経た者については、5年間の貸与金返済猶予期間が経過し、今年度から年賦払いでの貸与金の返済が始まっている。これにより、貸与制による不平等感が顕在化し、負担感が現実のものとなったとみることができる。また、66期以降の修習を経た者についても来年度以降、順次、返済が始まることとなっており、同様の事態となることが予想される。
 当会における谷間世代弁護士会員の数は1,260名と、全会員の4分の1を占めており、当会、ひいては我が国の司法インフラを支える大きな柱となっている。
 このような状況の下、日本弁護士連合会は、平成30年5月25日の定期総会において、谷間世代の者が、その経済的負担等によって法曹としての活動に支障が生ずることのないよう、引き続き国による是正措置の実現を目指すこと及び同連合会内で可能な施策を早期に実現することに力を尽くすことを決議し、同年7月26日には、同趣旨の会長声明を発したうえで、具体的施策として給付金の支給実現に向け現在検討を進めている。
 当会は、この日弁連の決議、会長声明と具体的施策を基本的に支持すると同時に、当会としても、引き続き、新給付制度の不十分な点の解消、谷間世代の不平等の是正に向けて日弁連とともに活動を進めていく所存である。

2018年(平成30年)12月11日
            第一東京弁護士会 
会長   若 林 茂 雄

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