平成28年12月6日、衆議院本会議において「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下、「カジノ解禁推進法案」という。)が賛成多数で可決され、現在、参議院で審議がなされている。
当会は、平成26年11月14日付会長声明において、カジノ解禁推進法が、民間企業が運営するカジノと賭博罪との関係、マネーロンダリングの危険、暴力団その他反社会的勢力の関与、ギャンブル依存症・多重債務者の増加、青少年の健全育成への悪影響、治安・風俗の悪化といった問題点を含むことから、これら問題点を解消する具体的方法が提示されていない現状に鑑み、カジノ解禁推進法案に反対する旨の意見を表明した。
当会が指摘したこれらの諸問題は、国民生活に広く影響を及ぼす重大なものばかりである。したがって、カジノ解禁推進法案を審議するにあたっては、国民各層の意見を吸い上げて、その是非を慎重に見極める必要がある。
ところが、衆議院では、当会が指摘した問題点を解消する具体的方法を提示することのないまま、極めて短い審議時間で採決が行われたが、かかる拙速な対応は、国民の基本的人権とその生活を守るべき国会がその役割を放棄したに等しい。
参議院で審議中のカジノ解禁推進法案がカジノ解禁に伴う上記問題点を解消するものにはなっていない以上、当会は、カジノ解禁推進法案に改めて強く反対し、廃案を求める。
2016年(平成28年)12月12日
第一東京弁護士会
会長 小 田 修 司