• 2016.02.18
  • 声明・決議・意見書

消費者庁・国民生活センター及び消費者委員会の地方移転に反対する会長声明

 現在、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」の個別施策として、政府関係機関の地方移転について論議されており、消費者庁、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)及び消費者委員会が検討の対象に含まれている。
 この点、政府関係機関移転の取り組みは、東京一極集中を是正し地方の活性化を促進させるものであり、基本的な考え方としては賛成できる。
 しかし、このような目的に鑑みれば、いかなる機関をどこに移転させるかについては、地方活性化(ここで検討されるべきは,移転先だけでなく日本全体の地方活性化である)を促す効果とともに、当該機関の機能・効率の維持向上等の観点から検討される必要がある。つまり、そこでは当然、全ての政府関係機関を対象に、総合的な検証がなされなければならない。
 ところが、現在議論されている消費者庁等の移転は、道府県から誘致提案を募集し、そこで名前の挙がったごく一部の機関だけが検討対象とされており、上記のような総合的な視点が完全に欠落した、極めて場当たり的なものといわざるを得ない。しかも、発足から6年半と基盤が弱い消費者庁だけを狙い撃ちして、関係省庁から切り離すことになり、消費者行政の司令塔として、政府全体の消費者保護政策を推進する消費者庁の機能は著しく後退する(消費者庁と密接に連携し、一体的に活動すべき国民生活センターや消費者委員会も同様である。)。
 にもかかわらず、このように短絡的で将来的な見通しのない移転を強行に実施すれば、政府の(消費者)行政機能を後退させるだけでなく、本来の目的に適った全体的な移転計画の実現を困難にし、かえって東京一極集中の是正・地方活性化の促進を阻害する。
 したがって、当会は、全ての政府関係機関を対象とした総合的な検証もせずに、場当たり的な議論だけで、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会を地方へ移転することには、反対する。

2016年(平成28年)2月18日
            第一東京弁護士会 
会長   岡    正 晶

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