• 2014.05.28
  • 声明・決議・意見書

東日本入国管理センター被収容者の連続死亡事件に関する会長声明

 本年3月28日、東日本入国管理センターに収容されていた30歳代のイラン人男性の被収容者が食事をのどに詰まらせ、意識不明になったため、救急車の出動を要請したが、同男性が翌29日に病院にて死亡した。また、同月30日には、同センターに収容され、数日前に体調不良を訴えていた40歳代のカメルーン人男性の被収容者が意識及び呼吸がない様子で発見されたため、救急車の出動を要請したが、同男性が同日中に病院にて死亡した。
 東日本入国管理センターにおいて、今回の連続死亡事件が起こってしまったことは、誠に遺憾の極みであると共に、これらの事件は、既に国内外の報道機関により取り上げられており、日本国内だけでなく、国際社会の注視するところとなっている。
 第一東京弁護士会は、東日本入国管理センターに収容された被収容者が連日亡くなるという異常な事態を受け、両事件において亡くなった方々の死亡の原因・経緯等について、真相を解明すべく、法務省入国管理局から独立した中立的な第三者委員会が設置され、徹底的な調査を受け入れることを強く求める。
 また、第三者委員会の調査結果は、直ちに公表されるべきである。被収容者が連日死亡するという極めて異常な事態が発生したのであるから、それら事件の背景と真相を公にすることは、亡くなられた方々とご遺族及び日本国民のみならず、国際社会に対する責務であるといえる。
 さらに、被収容者処遇規則第30条は、入国者収容所所長に対して被収容者に適正な医師の診察を受けさせ、被収容者の心身の健康を保たせる責務を課しているが、今回の悲劇が発生する以前から、東日本入国管理センターを含む入国者収容所及び地方入国管理局における医療の不備は、既に繰り返し指摘され、深刻な懸念が表され続けてきたところである。
 加えて、以前から指摘されているように、長期収容を行うこと自体が、被収容者の心身に多大な負担を強いることからも、今回の悲劇を受け、長期の収容を直ちに停止する契機とすべきである。
 今回の被収容者の連続死亡事件につき、法務省入国管理局が、その真相を解明するための独立した第三者委員会を速やかに設置し、同委員会による徹底的な調査を受け入れること、かつ同委員会による調査結果が、直ちに公表されるべきこと、今後、今回のような被収容者の死亡事件が二度と発生しないための対策として、被収容者に対する医療体制の改善を含む収容体制の改善手段を速やかに策定して公表・実施すると共に、被収容者の心身に著しい負担を課する長期収容自体を直ちに停止することを強く求めるものである。

2014年(平成26年)5月28日
            第一東京弁護士会 
会長   神   洋  明

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