• 2013.12.18
  • 声明・決議・意見書

特定秘密保護法の成立を受けての会長声明

 政府与党は、多数の国民の反対や拙速な審議に対する批判があったにもかかわらず、平成25年12月6日、強行採決により特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)を可決成立させ、同月13日に同法を公布し、1年以内に施行される見込みとなった。
 当会は、同法について、主として、行政機関の長の恣意的運用の危険を指摘し、そのような危険を払拭できるような制度的保障が手当てされない以上、報道の自由引いては国民の知る権利を著しく侵害するおそれがあることから、同法の成立に一貫して反対してきた。
 共同通信社が同月8、9日に行った世論調査によれば、同法を修正すべきとするものが54.1%、廃止すべきとするものが28.2%であり、安倍内閣の支持率も47.6%と初めて50%を割り、不支持率は38.4%と増加している。これは、ひとえに特定秘密保護法の内容に多数の問題点があるにもかかわらず、政府与党において国会における十分な審議を尽くさず、その成立を拙速に急いだことに対し国民が多大な不安を感じていることによるものである。
 政府は、秘密の指定・解除に関する統一基準の策定や秘密指定の妥当性を監視する第三者機関設置のための準備室を内閣官房に発足させたが、当該機関は内閣府に設置される見込みであるから、上記のような国民の不安を払拭するものとはいえない。また、自民党は、衆参両院議長の下に国会議員で構成する諮問機関を置く国会法改正案を来年の通常国会に提出する意向であるが、特定秘密として妥当か否かを的確に判断できる独立機関としなければ無意味である。このような独立した監視機関の設置に加え、さらに、特定秘密を漏らした罪について、当該特定秘密が同法3条1項における特定秘密に該当しない又は特に秘匿する必要性がないものであった場合には、その違法性を阻却する旨を明記するなど同法の問題点を一つ一つ解決して、上記のような国民の不安に応えていくべきである。

 当会は、国民の知る権利の制限を最小限にするような制度的保障が手当てされないことなどから、現行の特定秘密保護法については引き続き廃止を求めるものであるが、少なくとも適切な第三者機関の設置及び罰則規定の適正化を行うなど、国民の不安を払拭するよう政府与党に強く求めるものである。

2013年(平成25年)12月18日
            第一東京弁護士会 
会長  横  溝  髙  至

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