住宅・建築トラブル

住宅・建築トラブルでお悩みの方へ

 住宅・建築トラブルでは、一般の人は建築に馴染みがなく、かつ、技術的な問題もあることから、建築士等の専門家の意見を聞いてみる必要がある場合もあります。

住宅・建築トラブルの相談事例

事例1

 8年前に新築の建売住宅を購入して引渡を受けたところ、最近になって雨漏りが生じました。欠陥ではないかと考え、売主に修理を求めましたが、「欠陥ではなく、経年劣化による雨漏りである。」と言われ、費用を支払わないと対応しないと言われました。売主に対し、どのような主張ができますか?

 雨漏りの原因が建物の欠陥(瑕疵)であった場合には、売主は、買主に対し、売買契約に基づく瑕疵担保責任を負っています。売買契約に基づく瑕疵担保責任は、民法上は、買主は基本的に損害賠償しか求めることができず、その存続期間は瑕疵を知った時から1年間、引渡の時から10年間で、しかも特約によってこれを短縮させることができますが、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって、住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵(ただし、構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除きます)については、買主は損害賠償請求権のみならず瑕疵修補請求権をも有し(買主は、売主に対して瑕疵の修補を求めることもできますし、瑕疵の修補は別の業者にさせてその修補費用の損害賠償を求めることもできます)、その存続期間も引渡の時から10年間に伸長されています。
 ご相談の事例は、引渡から10年以内に生じた雨漏りですので、雨漏りの原因が建物の瑕疵であった場合には、瑕疵担保責任に基づいて、売主に対し、費用を支払うことなく雨漏りの修理を主張したり、修理費用等の損害賠償を主張したりすることができます。
 もっとも、訴訟等においては、単に雨漏りが生じたこと(欠陥現象)を主張立証しただけでは建物に瑕疵があったとはいえず、当該雨漏りが建物のいかなる瑕疵に基づいて生じたのか(欠陥原因事実)を主張立証する必要があります。特に、引渡から10年近く経過している場合には、雨漏りが生じたとしても、売主側から、その原因は経年劣化や地震によるもので、建物の瑕疵ではないとして争われることがありますので、注意が必要です。

事例2

 自宅を新築し、建築業者と建築請負契約を締結して、先日、建物の中を見たところ、居室のクロスの貼り方が雑だったのですが、引越を先延ばしにするわけにいかなかったことから、引渡は受け、クロスは後日やり直すよう売主に言いました。残代金の支払が残っているのですが、クロスをやり直すまで残代金の支払をしないでおいてよいでしょうか?
 建築業者にクロスをやり直させるのではなく、他の業者から見積を取り、その見積額との相殺を主張した場合はどうでしょうか?

 居室のクロスの貼り方が瑕疵といえる程度に雑だった場合には、建築業者は、注文者に対し、請負契約に基づく瑕疵担保責任を負っています。請負契約に基づく瑕疵担保責任においては、注文者は、請負人に対して、瑕疵修補請求権及び損害賠償請求権を有しているところ、これらと支払期限の到来した注文者の負っている残代金支払義務とは同時履行の関係に立っており、注文者は、請負人に対して遅延損害金を請求できず、他方で請負人に対する遅延損害金の支払義務も負わないことになります。もっとも、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み信義誠実の原則(信義則)に反すると認められる場合には、同時履行の関係に立たないとされています。
 ご相談の事例においても、居室のクロスの貼り方が瑕疵といえる程度に雑だった場合には、信義則に反すると認められない限り、クロスをやり直すまで残代金の支払を拒める(遅延損害金を負わない)ことになります。
 これに対し、注文者が損害賠償を主張している場合において、注文者又は請負人によって残代金との相殺の意思表示がなされた場合には、相殺の翌日から相殺後の残代金について遅延損害金が発生するとされています。訴訟等において認められるであろう損害額が残代金額を上回ることが確実な場合には、注文者としては相殺の意思表示をした方が遅延損害金を請求できる点で有利となりますが、ご相談の事例のように、損害額が残代金額を下回る可能性が高い場合には、注文者としては相殺の意思表示を控えた方がよいと思われます。

事例3

 1か月前に訪問販売で屋根の塗装工事をすすめられ、「塗装工事一式」とのみ書かれ、塗料の色やメーカー等の記載のない工事契約書にその場でサインし、その後塗装工事が行われて代金の支払を求められています。友人に塗装工事の内容と代金額を話したところ「高すぎる」と言われたことから、契約を解消できないでしょうか?

 契約には拘束力があることから、一度契約が成立すると、原則として、一方的にこれを解消したりその内容を変更したりすることはできません。ご相談の事例においても、工事契約書にサインがなされ塗装工事の請負契約が成立していると考えられることから、代金額が高すぎるという理由で契約を解消することはできません。
 ただ、特定商取引に関する法律(特商法)によって、訪問販売の場合には、一定の除外事由に該当しない限り、法律で定められた事項(役務の種類、役務の対価、役務の対価の支払時期及び方法、役務の提供時期、役務提供契約の申込みの撤回又は役務提供契約の解除に関する事項等)が記載された書面(法定書面)を交付されてから8日以内においては、役務提供契約の申込みの撤回又は役務提供契約の解除ができるとされています(クーリング・オフ)。そして、法定書面において記載されることが求められている役務の種類については、役務の内容が特定されていることが必要と解されています。
 ご相談の事例では、工事契約書には、「塗装工事一式」とのみ書かれ、塗料の色やメーカー等の記載がなく、役務の内容が特定されておらず、未だに法定書面が交付されているとはいえないことから、工事が行われた後であっても、クーリング・オフにより契約を解除できると思われます。

事例4

 自宅のリフォーム工事をした際に、事前に提示された見積書に記載のない工事を追加で注文したいと思ってリフォーム業者に相談し、「その程度の工事なら大した追加とはならない。」と言われたことから、追加工事代金額を定めることなく口頭で追加工事をお願いしたところ、工事完了後になって追加工事代金として多額の請求を受けています。リフォーム業者から請求された金額を支払わないといけないでしょうか。

 リフォーム業者の注文者に対する追加工事代金の請求が認められるためには、当初の工事内容となっていない工事(追加工事)を有償で行うとの合意が必要となります。そのため、例えば、当初の工事内容となっていた工事や、当然に当初の工事内容に含まれるべき工事については、そもそも追加工事とはいえないことから追加工事代金の請求はなしえず、また、追加工事であっても、例えば、サービスとしてなされたり、何らかの不手際の埋め合わせとしてなされたりした場合には、有償の合意があったとはいえないことから追加工事代金の請求はなしえないことになります。そして、建設業法では契約の内容を書面化することが求められているものの、民事上は、このような合意は、書面によらずに口頭であっても成立するほか、明示的でなく黙示的であっても成立すると考えられています。
 ご相談の事例の場合、事前に提示された見積書に記載のない工事であったことから、追加工事となりますが、有償の合意があるのかは定かではありません。有償の合意の有無は、事案に応じて個別具体的に判断することになり、当初の工事に比べて増加費用がどの程度発生しているか、注文者に対し追加工事代金が発生することを説明しているか等、諸般の事情を総合的に勘案して判断していくことになると思われます。
 なお、有償の合意が認められても代金額について合意がない場合には、仕事の規模、内容、程度等の諸般の事情を総合的に考慮して相当とされる額が追加工事代金額になると考えられています。したがって、業者から事後的に提示された金額をそのまま支払わないといけないわけではありません。

ご相談手続き等、詳しくは「住宅専門家相談」のページをご確認下さい。尚、住宅専門家相談は相談内容(分野)により、ご利用いただけない場合がございます。詳しくは上記サイト内「ご利用いただける方」をご覧下さい。(ご利用いただけない方は、「弁護士会の法律相談センター」など、他の相談機関にご相談下さい。)

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