• 2013.07.24
  • 声明・決議・意見書

憲法第96条の憲法改正の発議要件の緩和に反対する会長声明

 憲法は,国の最高法規として,国家権力の濫用を防止して国民の自由と権利を保障することを目的とする。国民の自由と権利が安定的に保障されるためには,憲法が時々の政権与党によってみだりに変えられないという制度的保障が必要である。日本国憲法第96条は,国会の各議院の総議員の3分の2以上の特別多数の賛成を憲法改正発議の要件とするとともに,国民投票による過半数の賛成による承認を必要としている。憲法が改正される場合には,国会の審議において充実した十分慎重な議論が尽くされた上で改正発議がなされるべきことが求められているのである。
 ところで,近時,複数の政党が日本国憲法第96条の憲法改正発議要件を両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成に緩和することを提案している。
 しかしながら,上記提案の憲法改正発議要件緩和は,時の政権与党による恣意的な憲法改正に道を開いてしまうおそれがある。また,諸外国の憲法改正要件と比較しても,日本国憲法第96条の改正要件が特別に厳しいものであるとは言えない。改正発議要件を緩和した場合,それは,国民主権主義,基本的人権の尊重,恒久平和主義という基本原理の改正にも適用されるものである。憲法改正発議要件の緩和により,立憲主義を弱体化させてしまうばかりでなく,恒久平和主義と基本的人権の保障までも脅かすおそれがあることを憂慮する。
 弁護士は基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする。
 前記憲法第96条の改正提案に反対する。

2013年(平成25年)7月24日
        第一東京弁護士会 
会長  横  溝  髙  至

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