• 2012.10.18
  • 声明・決議・意見書

参議院選挙定数配分を憲法違反の状態とした最高裁判決に対する会長声明

 昨日10月17日、最高裁判所大法廷は、平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙(選挙区選出)において、各選挙区間の投票価値の格差が最大で5倍の投票価値の較差が生じていたことについて、「公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下における選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていた。」との判決を言い渡した。
 本判決は、「上記選挙までの間に上記議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、その規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」として選挙無効の請求は棄却したものの、「参議院議員選挙における投票価値の平等の要請や国政の運営における参議院の役割に照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある。」と判断したものである。
 過去、最高裁判所は、平成8年9月11日大法廷判決において、最大で6.59倍の投票価値の較差があった平成4年7月施行の参議院議員通常選挙について、「違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態」であるとの判決を下していたが、国会は、その後若干の定数の調整を図っただけであった。そのため、平成21年9月30日大法廷判決においては、最大で4.86倍の投票価値の較差があった平成19年7月29日施行の参議院議員通常選挙について、「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる。国会において、速やかに、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて、適切な検討が行われることが望まれる。」とまで判示した。
 衆議院選挙についても、最高裁判所は、平成23年3月23日大法廷判決において、平成21年8月30日施行の衆議院総選挙(小選挙区選出)について、選挙区間の投票価値の較差が最大で2.304倍に達していることに対し、「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた。」と判断している。
 そもそも、国民主権のもと、選挙権は極めて重要な国民の権利であり、民主主義の根幹をなすものである。
 しかるに、三権分立の中で司法権を担う最高裁判所が、国会の判断を尊重して選挙無効を回避しつつ違憲状態にあることを指摘しているにも関わらず、国会は遅々として対応しないことから、衆参両院はともに違憲状態が続くという異常事態となっている。
 このように、最高裁判所が衆参両議院選挙の違憲状態を明確に判示しているにも関わらず、国会が抜本的な対応をしないという事態は、国会の怠慢とも言うべきものであり、国民の人権を守るべく活動する弁護士会としては、極めて遺憾である。  
 当会は、投票価値の平等の確保が有権者の意思を公平に立法府に反映させる不可欠な要因であることに鑑みて、国会に対して直ちに公職選挙法等関連法を改正し投票価値の平等を確保すべく立法措置を執ることを強く求めるものである。

2012年(平成24年)10月18日
第一東京弁護士会                  
会 長  樋口 一夫

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