• 2010.03.26
  • 声明・決議・意見書

民法(家族法)の差別的規定等の早期改正を求める会長声明

 選択的夫婦別姓や非嫡出子の相続分差別撤廃等に関する民法改正案は、既に平成8年に法制審議会の答申が出されているにもかかわらず、実に14年もの間放置されてきたまま、現在に至るも法改正が実現していないことは遺憾である。
 第1に、現行の夫婦同姓制度のもとで、婚姻に際し、96%のものが夫の氏を選んでいるという現実がある中で、これを望まない女性は改姓を事実上余儀なくされている。その結果、女性が被る社会生活上、職業上の不利益は計り知れないものがある。
 そもそも、婚姻後も自己のアイデンティティとしての氏を継続して使用する権利の尊重は、氏名が人格権の一内容を構成すること(最高裁第三小法廷昭和63年2月16日判決)に鑑みると、法制度上も十分尊重されるべきものである。しかも、選択的夫婦別姓制度は、夫婦同姓を望む人々の権利には何らの影響を及ぼすものではない。
 また、夫婦の同姓を強制する国は、先進国においてはすでに日本のみとなっており、また平成21年9月3日付産経新聞及び同年12月24日付毎日新聞の調査において、いずれも選択的夫婦別姓導入賛成が反対を上回るなどの状況からすれば、選択的夫婦別姓制度の導入については社会的な合意形成もなされているというべきであり、真の両性の平等と男女共同参画を実現するため、早急な法改正がなされるべきである。
 第2に、婚外子の相続分差別は、出生時に父母が婚姻しているか否かという子自身にはいかんともし難い事実をもって行われる差別であり、最高裁判決においても、憲法14条、24条2項との関係で婚外子の相続分差別撤廃を求める意見が繰り返し述べられ、このような差別をしないことは国際的な趨勢ともなっている。
 第3に、民法733条1項は、女性のみに再婚禁止期間を設けているが、父性の推定の衝突を避けようとするこの規定の立法根拠は、科学技術の発達により基礎が失われている。
 第4に、婚姻年齢の統一も、憲法14条、24条2項から当然に要請されるところである。
 日本における民法(家族法)改正の遅れは国連においても問題視され、平成5年以来、日本政府は国連の各委員会からも家族法の早期改正を行うよう繰り返し勧告を受けており、平成21年には女性差別撤廃委員会から、再度厳しい勧告を受けている。
 政府においても、千葉景子法務大臣は、選択的夫婦別姓等を導入する民法改正案を平成22年の通常国会に提出することを目指すと明言しており、客観的にもその機は熟してきたと言うべきである。
 当会は、選択的夫婦別姓の導入や非嫡出子の相続分の差別撤廃等をはじめとする民法(家族法)の改正が早期に今国会に提出され、速やかに成立することを強く求めるものである。

2010年(平成22年)3月26日
第一東京弁護士会
 会長  田中  等

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