理念と歴史

第一東京弁護士会の理念

 第一東京弁護士会は、1923年(大正12年)5月8日に創立され、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現、司法制度の発展と弁護士の地位向上を図るために活動しています。
 当弁護士会創立当時は、弁護士は地方裁判所検事局の検事正の監督下にあったため、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現は、著しく制限されていました。
 1949年(昭和24年)になって、新たな弁護士法の下に当弁護士会が主導的に活動し、日本弁護士連合会が創立され、弁護士が完全に自治権を確立し現在に至っております。当弁護士会の会員である弁護士は、在野法曹として徳性を磨き、謙譲と協和の精神をもって事に当たり、国民の模範となるべく研鑽を続けています。
 そして、この当弁護士会創立の精神は、現在に至るまで脈々として引き継がれ、当弁護士会独自の穏健中立な会風を築き上げております。
 私たちは、引き続きこの精神を受け継ぎ、真に市民の期待と信頼に応え得る 弁護士、弁護士会となるべく努力をつづけています。例えば、個人の人権や法律問題だけでなく、企業取引の公正を確保するための活動、国際的な問題や専門性の高い問題にも、日々取り組んでいます。
 当弁護士会創立時の伝統的精神は、「第一東京辯護士會記」として会内に掲額され、その精神は当弁護士会会員の日常活動の規範として、また独自の制度である常議員会における新入会員の宣誓式として今日でも連綿と継承されています。

第一東京弁護士会の成り立ち、歴史

 第一東京弁護士会創立の当時、東京で唯一の弁護士会であった東京弁護士会は、会員が急増し、会員相互の意思の疎通が円滑にいかない状況にありました。
 そのような状況を憂えて、原嘉道、花井卓蔵、江木衷、岸清一、岩田宙造弁護士らの指導の下、385名の弁護士が東京弁護士会から分離・独立して創立したのが当弁護士会です。1923年(大正12年)3月15日、時の帝国議会において弁護士会分離法案が可決されたのを受け、同年5月8日に当弁護士会の創立が認可されました。
 その後、同様に第二東京弁護士会が東京弁護士会から分離・独立し、現在、 東京には3つの弁護士会が併存しています。

「法の女神テミス」像について

 当会の講堂には、初代会長であった原嘉道弁護士がドイツから取り寄せられた法の女神テミスの像が飾られています。
テミスはギリシャ神話に出てくる女神で、天の神ウラノスと大地の女神ガイアとの間に生まれた娘です。
 テミスはギリシャ語で「安固、不動」「自然の法則」といった意味で、転じて「掟(おきて)」「法」を意味するようになったことから法の女神と称されるようになりました。

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