Q&A|ADR(仲裁)

Q1.仲裁センターはどのようなことを行っていますか。
A. 仲裁人等が中立的な第三者の立場で参加し、当事者双方の話を良く聞いた上で、当事者の合意によって紛争の妥協点を見出したり(和解)、解決基準を示したりすることで(仲裁判断)、その紛争を解決しています。
Q2.和解というのは分かりやすいのですが、「仲裁」というのはどういったものですか。
A. 「仲裁」は、当事者が仲裁人の示す判断に従うことに合意していることを前提として、仲裁人が解決案(仲裁判断)を作成して当事者に示すものです。

和解手続の途中で仲裁手続へ移行することも可能です。
Q3.具体的には、誰が、どのように解決するのですか。
A. 経験豊かな弁護士や元裁判官、学識経験者等が仲裁人等に就任します。医療、建築、知的財産、交通事故、消費者事件等の専門的知識を要する紛争については、その分野に精通した弁護士が仲裁人等となるほか、手続の中で専門家の補助を受けることにより対応しています。 医療紛争については、医療事件を専門に取り扱う紛争解決機関として東京の三弁護士会共同で運営する「医療ADR」もあります。
Q4.手続の流れを教えて下さい。
A. 手続の流れについては、フローチャートをご覧下さい。

フローチャートはこちら
Q5.取り扱うトラブル(紛争)の種類はどんなものでもよいのですか。少額のものや額の分からないものでもよいのですか。実際に、どんな種類の事件が多いのでしょうか。
A. 仲裁センターでは、金銭に関するトラブル、不動産を巡るトラブル、夫婦や男女間のトラブルなどの身近な紛争から、医療や知的財産などの専門分野に関するものまで、幅広く対応しています。紛争の金額が少額でも、金額が判明していないものであっても利用できます。

第一東京弁護士会の仲裁センターでは、次のような事件が比較的多いといえます。
  • 売掛金等の支払いを巡る紛争
  • 債務不履行に対する契約解除や損害賠償請求
  • 男女間・夫婦間の慰謝料請求
  • 各種事故等の不法行為に対する損害賠償請求
  • 賃貸借契約に関する各種トラブル
Q6.受付窓口はどこにありますか。
A. 弁護士会館11階の第一東京弁護士会に仲裁センター受付があります。

TEL 03-3595-8588

受付時間は、月曜~金曜 午前10時~午前12時、午後1時~午後4時

(但し、祝祭日・年末年始は除きます。)
Q7.申立ての方法を教えてください。申立ての前に相手との合意が必要ですか。

弁護士会に直接足を運ばない郵送やファックスでの申立てができますか。
A. 仲裁センターの受付に費用を添えて申立書を提出してください。

申立書を正本1部、副本2部を提出してください。申立ての際に必要な費用(申立手数料として11,000円)もご用意ください。原則として、仲裁センターの受付にて申立書を提出していただきますが、代理人が付くときは、郵送による提出も可能です。

詳しい申立て方法はお電話で受付担当者にお問い合わせください。

Q8.仲裁センターに申立てを行うときに、弁護士をつけないで当事者だけでもできますか。弁護士以外の代理人は認められますか。
A. 当事者ご本人だけでも申立てをすることはできますが、申立前に弁護士会の法律相談(有料:30分5,500円)を受けていただく場合もあります。

代理人をつける場合は、弁護士に限られます。
Q9.費用はいくらですか。申立人と相手方の双方が負担するのですか。
A. 申立時に11,000円(消費税込み)かかります。これは申立人の負担となります。毎回の期日については、期日手数料として、当事者双方が各自5,500円(消費税込み)を負担します。仲裁判断または和解成立時に、解決額に応じて、成立手数料を負担します。成立手数料の額については、成立手数料計算式をご利用ください。成立手数料の当事者間の負担割合は仲裁人等が定めます。

Q10.仲裁センターではどのくらいの割合で紛争が解決していますか。解決までの期間は普通、どれくらいですか。
A. 仲裁センターでは、相手方が手続に応じた事件のうち解決したものの割合は、概ね60パーセント程度です。解決までに開かれる期日の回数は3~4回、平均解決期間は90日間程度となっています。
Q11.相手が手続に応じてくれる割合はどれくらいでしょうか。相手が仲裁や和解の場に出て来ない場合にはどうなるのですか。
A. 一弁仲裁センターで相手が手続に応じている割合は70パーセント程度です。相手が期日に出席しない場合は、原則として手続は終了します。ただし、仲裁合意がある場合には、相手方不出頭のまま手続が進んで仲裁判断が出ることもあります。
Q12.裁判との違いはなんですか。
A. 裁判所の手続に比べると、①期日の設定や手続の進め方が柔軟であり、解決までに要する期間が短いこと、②柔軟な解決が可能であり、当事者の納得性が高いといえます。③仲裁人等の選任について当事者の意向を反映することができるのも特徴です。
Q13.紛争を公にしないで解決したいのですが、仲裁センターの手続でそれが可能ですか。当事者の秘密は守られますか。
A. 仲裁センターの手続は非公開ですので、紛争を公にせずに進められます。仲裁人等は守秘義務を負っており、秘密は守られます。
Q14.仲裁判断に納得がいかない場合、不服を申し立てることはできますか。
A. 予め当事者間で締結する仲裁合意に基づき、仲裁判断に対して不服を申し立てることはできません。
Q15.仲裁センターでの和解や仲裁判断には「執行力」はないのですか。
A. 仲裁センターにおいて和解しても、執行力はありません。

仲裁判断については、さらに裁判所において執行決定手続を経ることにより、執行力が生じ強制執行も可能となります。
Q16.裁判の場合、訴えを起こすことで時効が止まると聞きますが、仲裁センターの仲裁・和解の場合はどうですか。
A. 仲裁センターへの申立てによっては時効中断の効果は生じませんので、別途時効中断の措置をとっていただく必要があります。
Q17.離婚紛争の場合、仲裁・和解が不調のときは、あらためて家庭裁判所に調停申立が必要ですか。
A. あらためて家庭裁判所に調停の申立てをしていただく必要があります。
Q18.仲裁人等にはどのような人がなるのですか。特別な研修をうけていますか。
A. 経験豊かな弁護士や元裁判官、学識経験者等がなります。仲裁センターの仲裁人等は、紛争解決機関の中でも秀でた陣容となっています。また、仲裁人等は、定期的に研修会を開き、研鑽に励んでいます。
Q19.どの仲裁人等が事件を担当するかはどうやって決めますか。仲裁センターが仲裁人等を選任するにあたって、取り扱い分野など当事者の希望を聞いてもらえますか。
A. 仲裁センターが、事件の種類・性質をみた上で、仲裁人候補者の名簿の中から選任します。当事者が自ら仲裁人等の選任を希望されるときは、当事者双方の合意により仲裁人等を選任することができます。
Q20.仲裁人等のプロフィールや取り扱い分野は教えてもらえますか。
A. 仲裁人候補者の名簿などを通じて、事前にプロフィールと専門分野をご確認いただけます。

Q21.弁護士会の仲裁センターから、和解手続の申立てがあったと連絡を受けたのですが、どうすればいいですか。
A. 手続に応じられる場合は、まず、答弁書を作成して提出していただきます。その後、日程調整の上、期日にご出席いただき、仲裁人等があなたの言い分をお聞きします。(代理人を選任された場合は、代理人が出席するだけでも足ります。)
Q22.和解手続の申立てを受けたら、必ずこれに応じなければいけないのですか。拒否したらどうなりますか。何か不利益があるのでしょうか。
A. 申立てを受けても、必ずこれに応じなければならないということはありませんし、拒否しても不利益は受けません。しかし、当事者間で交渉していても解決できない場合などに、公正な第三者である仲裁人等を交えて話し合いなどを行うことによって紛争が解決に向かうことが期待できますので、一度期日にご出席されてみることをお勧めします。
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