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第三十三回渋谷法律相談センターコラム「シフト勤務の場合の、育児を理由とする時短勤務」

「育児休業中の女性従業員が復職したのはいいんですが、時短勤務を希望して、しかも遅番のシフトには入れない、土日勤務もできない。法律でそうなっているはずだと言われているんですが、本当ですか?うちは普通のお店なので、早番遅番のシフト制なんです。ほかの従業員にしわ寄せが来ることになってとても無理です。」

先日、このような相談を受けました。一番下の子が2歳である我が家も妻が時短勤務をしており、「保育園のお迎えの時間とかあるからなあ...」と、何となく従業員側に立って回答したい気持ちになりましたが、実際に法律はそこまでの規定をしていません。育児・介護休業法の第23条第1項は、所定労働時間の短縮措置を使用者(企業側)に義務付けていますが、具体的には厚生労働省令で、三歳未満の子を養育する労働者について、申し出があった場合に原則6時間勤務にすることを義務付けているだけで、それ以上何かをすることまでは求めていないのです。したがって、もともとの労働契約あるいは就業規則で、勤務時間がシフト制になっていることが定められている場合には、労働者がシフトの希望を申し出ることはできても最終的な決定権は使用者側にあると考えられるので、割り当てられたシフトの労働時間を短縮することは法律で義務付けられますが、遅番に入れちゃいけないとか(ただし22時から5時の深夜早朝勤務は禁止されます)、土日勤務は免除されるなどということまでは、ないのです。

もっとも、一人だけ6時間勤務になると誰かがそこを補わなければならないので、時間外労働に対する費用が余計にかかることになりますし、そもそもシフトを組みにくいという問題も生ずることになります。一般的な事務職を念頭に置いていればそこまでの不都合はないのかもしれませんが、相談者のように店舗系のお仕事だといろいろと面倒になります。

法的には以上のような説明になるけど、じゃあ現実にどのようにシフトを組むか、従業員がそれじゃ保育園のお迎えに対応できないなどといって辞めてしまっては、人手不足の場合かえって困るし、実際には相互に譲歩しながら、妥協点を探るしかないと思われます。また、ほかの従業員に不公平感が広がることに関しては、みんなが子育てに理解があればよいのですが、人の感情の話ですから現実にはなかなか難しいのが現実です。法律だけではすぐに解決できない、難しい相談でした。