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第八十五回渋谷法律相談センターコラム「相続放棄と遺留分放棄について」

相続に関してのご相談で,「他の相続人から,相続が発生する前に,相続放棄するという念書にサインしてもらっているから,私が遺産を全てもらえますよね?」といったご相談を受けることがあります。結論から申し上げると,残念ながら,その念書に法的効力はありません。

被相続人の方が亡くなり相続が発生した場合,相続人は,原則、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に,相続放棄をすることができます。法律上,相続放棄は「相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」行わないといけませんので(民法第915条第1項),相続開始前に相続放棄することはできません。そのため,相続が発生する前に相続放棄をしてもらっても,法的効力はありません。相続発生後に,あらためて相続放棄の手続を行ってもらう必要があります(家庭裁判所に対して,相続放棄の申述をしてもらう必要があります)。

相続放棄と若干似ている制度として,遺留分放棄というものがあります。遺留分とは,一定の相続人が相続に際して取得することを法律上保障されている相続財産の割合のことです。例えば,被相続人の方が,全ての財産を相続人の一人に遺言で相続させた場合には,他の相続人は,全ての財産を相続した相続人に対し,自身の遺留分に相当する金銭を支払え,と請求することができるのです。この遺留分については,相続が発生する前でも,放棄することができます。ただし,相続発生前の遺留分の放棄にあたっては,家庭裁判所の許可を得る手続きが必要となります。

このように,相続の分野における「放棄」については,相続発生前に行っても法的効力を有さないことと,相続発生前でも家庭裁判所の許可があれば法的効力を有することとがあります。名称は似ているのに,紛らわしいですね。

法的事項には,このように名称は似ているのに,内容は全然違う,といったことも色々とあります。取り返しのつかない事態になる前に,一度弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。ちなみに,当センターでは,毎週月曜日の午後に,相続相談の枠も設けていますので,是非ご活用してみて下さい。