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第八十一回渋谷法律相談センターコラム「残業代、ちゃんともらっていますか?」

 「うちの会社は、基本給に残業代が含まれているからいくら残業しても残業代が出ないんです」という話を時々耳にします。

 そもそも、「基本給に残業代が含まれている」ってどういうことでしょうか?

 本来、基本給というのは、労働契約で決められた時間・日数を働いた場合に支払われる通常の賃金のことです。

 一方、残業代というのは、労働契約で決められた時間・日数を超えて働いた場合に支払われる割増賃金のことですから、「基本給に残業代が含まれる」というのはちょっとおかしな気もしますよね。

 実は、このように「基本給に残業代が含まれる」という場合の残業代を、「固定残業代」と呼びます。「固定残業代」には、このように基本給に組み込むタイプのほか、基本給とは別の手当(「定額残業手当」など)として支払うタイプもあります。

 基本給に組み込むタイプの場合、基本給の中で、通常の時間・日数分の賃金に当たる部分と、割増賃金にあたる部分が明確に区別できるようになっていなければ(たとえば「基本給30万円(残業代を含む)」というような決め方の場合)、固定残業代としては認められず、全額が通常の賃金と判断されます。

 たとえば、「基本給30万円 うち固定残業代5万円」という決め方ならOKです。また、「基本給30万円 うち20時間分の固定残業代を含む」という決め方の場合も、労働者が残業代部分を計算できるようになっていればOKとされています。

 もし、実際の残業時間に応じて計算した割増賃金の金額が、固定残業代の金額より低くても、労働者は賃金を減額されないので、効率よく時間内に仕事を終わらせれば、その分実質的な給料が高くなるといえます。

 では、実際の残業時間に応じて計算した割増賃金の金額が、固定残業代の金額より高い場合はどうでしょうか?この場合、会社は差額を支払う必要がありますので、冒頭の「基本給に残業代が含まれているからいくら残業しても残業代が出ない」というのは間違いということになります。

 また、一言に残業といっても、法定内残業、法定外残業の区別があり、深夜労働、休日労働などの場合にも、割増賃金の率も違ってきます。残業代の計算はとても複雑なので、「ちゃんと残業代が支払われていないかも」と思ったら、是非弁護士にご相談ください。