皆さんは、ご自身が犯罪の被害者になることを想像したことはあるでしょうか。
事件の報道に接するなどして、被害者の方の気持ちを想像することは多いかと思います。
しかし、被害に遭った後、どのように行動すれば良いかについて具体的に考えたことがある方は少ないのではないでしょうか。
犯罪の被害に遭ったとき、最初に浮かぶことは、警察への被害申告だと思います。
しかし、被害の内容によっては、警察を含む第三者に知られること自体を躊躇することもあります。
難しい問題ではありますが、たとえば性犯罪については、医療機関とも連携した専門のワンストップセンターがありますので、警察以外にも窓口があることを頭の片隅に入れておくと良いでしょう。
警察に被害の申告をすると、通常は捜査が行われますが、警察や検察は基本的に加害者に対する刑事処罰を求めることを目的としています。
このため、たとえば、示談に関する加害者側とのやりとりは、被害者自らが行う必要があります。
加害者に弁護士が就いているケースでは、その弁護士とのやりとりとなり、被害感情や示談金の相場、示談が刑事処罰に及ぼす影響等を考慮して、示談に応じるか決めることになります。
また、刑事処罰について、裁判官に直接意見を述べたい等、刑事裁判に関与したいという希望がある方もいらっしゃいます。
この場合、特定の事件については被害者参加制度があり、一定の制約はありますが刑事裁判に参加することが可能です。
この他にも、最近は、都道府県が諸費用の助成制度を少しずつ整備しており、被害者の支援制度が増えてきています。
刑事事件における弁護士の業務としては、加害者側の国選弁護人等がイメージされがちですが、当然、犯罪被害者の方の立場に立ち、被害者の権利擁護に努めることも弁護士の業務であり、被害者の方からもご相談をお受けしております。
もし、皆さんが犯罪の被害に遭われて助けが必要なときには、是非弁護士に相談をすることも考えてみてください。