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第七十八回渋谷法律相談センターコラム「我慢は美徳か?」

 離婚事件や労働事件で、配偶者や会社の対応について長年我慢されていたことを訴える方は多いです。

 道徳的には我慢は美徳とされていますが、裁判等で我慢していたことが必ずしも有利に働くとは限りません。

 まず、長期間我慢していたことで、昔の部分については、時効が成立し、請求できない場合があります。民法改正後に時効期間が延びたとはいえ、未払賃金の請求は3年で時効にかかるため、それ以前の時間外労働等の未払賃金の請求はできませんし、不貞行為の慰謝料は知ったときから3年で時効にかかるため、古い不貞行為の慰謝料請求は認められません。

 時効について問題がない場合であっても、昔のことであればあるほど、証拠資料の確保が難しくなります。労働問題等では会社側が作成・保管している資料が必要となる場合がありますが、法定の保管期間内の資料であれば所持していないこと自体が会社側に不利、労働者側に有利に働きますが、法定保管期間を経過している場合は、会社が所持していなくとも正当な理由があり、資料の乏しい状態で労働者側が立証を強いられることになります。

 また、知っていながら長期間異議を唱えず、我慢していたというのは、その状態を容認していた、相手を許していたと判断される可能性があります。労働問題では、会社側が変更にあたって承諾書を書かせている場合が多く、承諾書面を交わしていて、長期間異議を唱えていない場合は、会社側からそうした主張が出されることが多くあります。

 自分に不利益な状態に陥ったときは、ただ我慢するのではなく、そのような我慢が必要なのかについて、まずは身近な方に相談し、疑問があれば、早めに弁護士や公的機関等にご相談ください。我慢が美徳なのはあなたにとってではなく、相手にとってなのかもしれないのですから。