• HOME
  • コラム
  • 第六十八回渋谷法律相談センターコラム「相続の限定承認」

電話での受付

03-5428-5587
月~金 9:30~16:30
※祝祭日を除きます。


インターネットでの予約

法律相談インターネット予約よりご予約頂けます。

第六十八回渋谷法律相談センターコラム「相続の限定承認」

 第二回のコラムで、相続の放棄・限定承認についてご紹介しました。相続の放棄は「資産も含めて一切の相続財産を引き継がない」という制度ですので、イメージしやすいかと思います。これに対して、「相続財産の限度で負債も引き受ける」制度である限定承認はややイメージしにくいのではないでしょうか。

 そこで、今回は、①限定承認が選択肢になる場合、②限定承認の方法について詳しくご説明します。

1 限定承認が選択肢になる場合

  まず、限定承認が選択肢になる場合として、①相続財産が、資産の方が多いか、負債の方が多いか不明な場合や、②相続財産の中に確保したい財産がある場合等があります。

  限定承認が認められると、例えば、相続財産のうち資産が1000万円、後日、3000万円の負債があることが判明した場合、相続人は1000万円だけ返済すればよいことになります(これが「相続財産の限度で債務も引き受ける」ということです。結局、相続した1000万円を返済に充てればよく、相続人自身の持ち出しはありません。単純に相続した場合には、相続人は3000万円全額を返済する必要がありますので、2000万円は相続人自身の財産から持ち出すことになります。)。

  また、例えば相続財産の中に不動産(5000万円)があり、これを確保したいとします。他方で、8000万円の負債がある場合、限定承認が認められれば、相続人は5000万円だけ返済すればよいことになります。そして、自己資金や借入等で5000万円を用意できれば、不動産を処分することなく確保できることになります。

2 限定承認の方法

  亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内(熟慮期間)にする必要があること、相続人全員でする必要があることに注意が必要です。

  場合によっては、自己のために相続の開始があったことを知った時期が相続人間で異なることもあります(被相続人と相続人が疎遠で亡くなったことを知らされていなかった場合や、先順位の相続人が相続放棄をして相続人となった場合など)。しかし、限定承認は相続人全員でする必要がありますので、相続の開始があったことを先に知った相続人の熟慮期間に間に合わないときは、家庭裁判所に熟慮期間伸長の申立てをしておく必要があります。

 限定承認は、限定承認すべきか否かの判断、申述手続、家庭裁判所に受理された後の手続いずれも複雑なので、弁護士にご相談されることをお勧めします。