• HOME
  • コラム
  • 第五十七回渋谷法律相談センターコラム「相続手続きで便利な法定相続情報証明制度」

電話での受付

03-5428-5587
月~金 9:30~16:30
※祝祭日を除きます。


インターネットでの予約

法律相談インターネット予約よりご予約頂けます。

第五十七回渋谷法律相談センターコラム「相続手続きで便利な法定相続情報証明制度」

両親などが亡くなって相続が発生した後、相続人が金融機関で手続きをする際には、亡くなった被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本及び相続人の戸籍謄本等を全部揃えるように言われることが通常です。戸籍謄本等には、出生から結婚、離婚、子の誕生・死亡がすべて記載されているため、被相続人に対して誰が相続人になるかを確認することができるためです。金融機関としては、相続人全員の合意を得て手続きを進めないと後に紛争になるため、戸籍謄本等の提出を求めているのです。亡くなった被相続人が離婚・再婚し、前妻と後妻の間にそれぞれ子をもうけているケースや、被相続人の子が先に亡くなって、孫が代襲相続人になっているケースなどは、取得しなければならない戸籍謄本等の通数も多くなり、また戸籍の転籍を繰り返している場合には遠方の役所から取り付ける必要があるため、手間も時間もお金も嵩むことが少なくありません。

戸籍謄本等は手続きが終了すると返却されることが一般的であるものの、複数の機関で同時に手続きを進めるには何通も取得する必要があり、また民間の金融機関では返却に応じないこともあるため、相続人にとってはこの戸籍謄本等の提出が大変な手間となっていました。

そこで、国はこうした手続きの簡素化を図るために2017年から、法定相続情報証明制度を開始しています。同制度は、登記所(法務局)に戸籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を作成して提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付して相続関係を証明してくれるというものです。一覧図の写しは、無料で何通でも交付してくれます。

したがってその後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを提出することで、戸籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。この一覧図は相続税の申告や遺族年金の手続きでも利用することができるので、大変便利です。

また、今年4月には、民法等の一部を改正する法律が国会で可決され、これまで任意だった不動産の相続登記が義務化されました。この改正は、数次の相続等を経て所在者が不明になっている土地の増加が深刻化しているためです。法改正では、正当な理由がなく相続登記手続きをせず3年を経過した場合、10万円以下の過料が定められています。改正法は2024年度を目途に施行される見込みですが、法定相続情報証明制度は相続登記の手続きでも利用できます。

法定相続情報証明制度の詳細については、法務省の下記サイトをご覧ください。ご自身でも手続き可能ですが、難しそうだなとお感じになった場合には、気軽に当渋谷法律相談センターにもご相談ください。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html