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第四十八回渋谷法律相談センターコラム「ハロウィンじゃない仮装って?」

コロナ禍が続く今年ですが、先日迎えたハロウィンでも、例年仮装を楽しむ方々でごった返すここ渋谷にも影響はあったようで、人出も仮装も控えめだったとか。渋谷区が来訪を控えるよう訴えかけていたことが届いたのかもしれませんね。

さて法律の世界で仮装といえば、売買などを仮装したような場面を想定した規定があったりもします。

民法では、取引の相手方との間で通謀した虚偽の意思表示を無効とし、いわば仮装取引の効力を否定しています(94条1項)。なぜこのような規定があるのかというと、たとえば借金を負っているXさんが、自身の借金の支払いを免れようと、自分の保有している不動産をYさんに対して譲渡したことにしてその不動産を取り上げられないようにする、といった事態を防ぐためです。

他方で、Yさんが本当は権利を持っていないのに、権利を持っていることを信じて、ZさんがYさんからその不動産を購入しようとした場合も、XY間の売買が無効だからという理由で、Zさんが不動産の権利を取得できない、となるとZさんはお金を支払い損になってしまいますよね。

民法ではそのような場面も想定して、虚偽の意思表示の無効は「善意の第三者に対抗することができない。」と定めています(94条2項)。ここでいう「善意」とは、虚偽表示による無効を知らなかった、ということを意味します。

この規定により、先の例におけるZさんは、本来は権利を持っていないYさんから不動産を買ったとしても、真実の権利者であるXさんから、XY間の売買契約が無効であることを理由として不動産の引渡しを受けられない、といった事態を避けることができます。

XY間が通謀して虚偽の意思表示をしたことによって、何も知らないZさんが被害を受けることは理不尽なので、民法はごく当たり前のことを規定しているとも言えます。

ご相談をお受けする際に、法律は難しいからよく分からない、なんてお言葉をいただくことも良くありますが、法律は社会の常識を文言にしてルール化するということが基本です。

日常生活において、おかしいな?と疑問に思うことがあれば、法律上も問題があることかもしれません。そのような場合は、まずは弁護士に相談をしてみることをお勧めします。