損害賠償命令制度について

1.損害賠償命令制度とは

 刑事裁判を行った裁判所と同じ裁判所が損害賠償の審理を行う制度です。刑事裁判が終了した後に始まり、おおむね4回以内の審理で結論を出すことになっているため、通常の民事裁判よりも簡易・迅速に解決しうる制度になっています。

2.対象となる犯罪

 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、強制わいせつ及び強制性交等の罪、逮捕及び監禁の罪並びに略取、誘拐及び人身売買の罪等に係る刑事被告事件。被害者参加制度と異なり、過失犯は対象となっていません。そのため、交通事故の事案の大半は損害賠償命令制度の対象外となっています。

3.損害賠償命令を申し立てるには

(1)刑事裁判の第1審(地裁に限定)の弁論終結までに申し立てます。

(2)申立書の内容は、請求の趣旨、訴因として特定された事実、その他請求を特定するに足りる事実のみを記載します。

(3)申立は、原則として手数料2000円。その他、通常裁判と同様に予納郵券が必要です。

4.審理

  • 刑事裁判第1審判決言渡し後すぐに審理を開始します。
  • 損害賠償命令の審理を担当する裁判所は刑事事件を担当した裁判所と同じです。
  • 審理は特別の事情がある場合を除き4回以内の審理期日で終結

5.異議

・決定に対しては異議申立ができます。

6.民事訴訟手続への移行

  • 4回以内の審理で終結しない見込みのときは、申立人(被害者)の申立又は裁判所の職権により民事訴訟手続に移行します。
  • 申立人(被害者)の申立により通常の民事訴訟手続へ移行することができます
  • 相手方(加害者)が民事訴訟手続への移行の申立をした場合、申立人が同意した場合には民事訴訟手続に移行します。
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