震災関係 Q&A
- 1.損害賠償、契約等
質問一覧
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1-1【瓦、ブロック塀等による損害賠償】
家の瓦、ブロック塀又はマンションの外壁が地震により崩れてしまい、隣家の自動車が破損しました。また、地震により墓が崩れ、隣の墓が傷つきました。修理代金の支払はどうなるのでしょうか?震度4の場合と震度7の場合で違いがありますか?
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1-2【建物内部の崩壊による怪我】
スーパーで買い物をしていました。地震によりスーパーの天井や看板が落下し、全身打撲の怪我を負いました。損害賠償はできますか。
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1-3【失火】
私の自宅裏に設置していた灯油タンクが地震のために破損したため引火して、私の自宅だけでなく隣近所数軒に延焼し焼失させてしまいました。この場合、私は隣近所の方から損害賠償請求されるでしょうか。
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1-4【行政庁への責任追及】
県や市町村の災害救助の対応に遅れがあったために、私の家族は土砂崩れの現場から救出できず死亡してしまったと思うのですが、これを県や市町村に対して責任を追及できるでしょうか。
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1-5【自力救済】
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1-6【救助要請の見過ごし】
地震による津波から逃れて避難所へ急ぐ途中、倒壊した塀の下敷きになった人から「助けてくれ。」と呼び止められました。助けてあげたいと思いながらも、津波が近くまで来ていたため、自分が逃げることで精一杯だったので、助けずに逃げてしまいました。私が助けてあげれば、その人は生きていたかもしれないと思うと、大変後悔しています。私は、刑事上、民事上、何らかの責任を負うのでしょうか。
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1-7【避難時の突倒し】
地震による津波が押し寄せてきたため、車で高台に避難している最中に、車の進路をふさぐように立っていた人がいたので、当たるとわかっていながら突き倒してしまいました。その人は、その事故のせいで亡くなったと後日聞きました。私は何らかの責任を負うのでしょうか。
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1-8【ボランティア活動中の怪我】
ボランティア活動に参加し、リーダーの指示に基づき、地震で半壊した建物の中に入り、被災者から依頼されたアルバムを探していたところ、余震がきて、建物がさらに崩れて柱に手を挟まれて骨折してしまいました。ボランティア団体や指示をしていたリーダーに対して治療費等を請求することはできますか。アルバムを探して欲しいと依頼した被災者に対してはどうですか。
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1-9【工場等からの有害物質】
今回の地震による津波によって近くの化学工場から有害物質が県道に流出してしまい自宅の庭にまで入ってきて残ってしまいました。どのような手段をとることが可能でしょうか。
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1-10【公共料金の支払】
地震によって、電気・ガス・水道が2週間以上ストップしてしまいました。その間の使っていなかった日数分については料金免除して欲しいです。また、現在、勤務していた会社の津波で流されて仕事が出来ないため収入がないので、今後の支払についても待っていただきたいのですが、猶予してもらえるものでしょうか。
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1-11【仕入品の扱い】
スポーツ用品店を経営しています。仕入れたスポーツ用品が店ごと津波で流されてしまいました。支払債務は免れないのでしょうか。ただ、仕入れ先とは今後も継続的に取引をしたいため、良好な関係を維持したいです。
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1-12【売買契約と事情変更】
震災前に船を購入する契約をしていました。震災がありましたが船は無事とのことでした。しかし、お金がなくなってしまったのでできれば売買契約を解除したいのですが、可能でしょうか。
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1-13【輸送契約】
運送会社を経営しているのですが、今回の地震によって、運送経路の道路が通行止めになり、依頼された商品の輸送ができませんでした。この場合の契約関係はどうなりますか。
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1-14【通勤定期券の払戻し】
毎日、電車で通勤していましたが、今回の地震による津波で線路が流されて電車の運転の目途がたちません。今後は車通勤をするしかないのですが、地震の前日に6か月定期を購入したばかりですので、この定期券を払戻ししたいのですが、できるのでしょうか。
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1-15【倉庫契約】
港近くの倉庫業者に荷物を預けていたところ、今回の大地震による津波で荷物が倉庫もろとも流されてしまいました。倉庫業者に対して、何らかの責任を追及できるでしょうか。荷物が津波によって流されたのではなく、地震のために倉庫内に積み上げられていた荷物が崩れて内部が破損してしまった場合はどうでしょうか。
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1-16【旅行契約のキャンセル】
宮城県に旅行に行く予定をしており、気仙沼市内のホテルに予約を入れていましたが、今回の地震でホテルが津波で流されてしまいました。ホテルの予約をキャンセルしたいと考えていますが、キャンセル料はかかるのでしょうか。旅行会社のツアーを予約していた場合はどうでしょうか。
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1-17【月謝等の扱い】
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1-18【悪徳商法全般】
地震に便乗した悪徳商法にはどのような商法があるのでしょうか。また、このような悪徳商法には、どのように対応すればいいのでしょうか。
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1-19【公示による意思表示】
郵便物を発送後に地震が発生して相手方に到達しない場合、その郵便物で主張した意思表示について効果は発生するのでしょうか。また、相手方が地震によって行方不明の場合の意思表示はどのようにすればよいのでしょうか。
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1-20【債務不履行】
今回の地震による津波により工場が全壊し、在庫商品もすべて流れてしまったため、納期に商品を納品することができません。この商品は他の工場や他社でも一切製造していません。このような場合、債務不履行責任を負うのでしょうか。また、種類債権の調達義務はどのような場合でも生じますか。
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1-1【瓦、ブロック塀等による損害賠償】
家の瓦、ブロック塀又はマンションの外壁が地震により崩れてしまい、隣家の自動車が破損しました。また、地震により墓が崩れ、隣の墓が傷つきました。修理代金の支払はどうなるのでしょうか?震度4の場合と震度7の場合で違いがありますか?
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1 瓦やブロック塀による破損に関する相談が、非常に多くなっています。土地工作物責任(民法第717条第1項)が問題となり、従前、震度5以下の場合は損害賠償責任を免れず、震度6以上の場合は不可抗力に基づくものとして瑕疵が否定され損害賠償責任を免れると考えられてきました(以下「震度5・震度6基準」といいます。)。
この「震度5・震度6基準」は、「震度『五』程度の地震が仙台市近郊において通常発生することが予測可能な最大級の地震であったと考えるのが相当である」ことを前提に、「本件ブロック塀の設置につき瑕疵があったというためには、・・・本件ブロック塀が地盤、地質、施工状況等の諸事情に照して震度『五』の地震に耐え得る安全性を有していなかったことが明らかにされなければならないものといわなければならない」と判示した、宮城県沖地震時におけるブロック塀倒壊事故に関する仙台地判昭56・5・8判時1007・30、「本件宅地に耐震性の点からの瑕疵の存否は、従来発生した地震の回数、頻度、規模、程度のほか、時代ごとに法令上要求される地上地下構築物の所在場所、地質、地形、強度等の諸要素を考慮し、一般常識的見地から、少なくとも震度五程度の地震に対して安全性の有無を基準として判断するのが相当である」と判示した、宮城県沖地震時における宅地造成工事に関する仙台地判平4・4・8判時1446・98等に基づき提唱されています。当該「震度5・震度6基準」に基づけば、震度4の場合は修理代金を支払わなければならない一方、震度7であれば支払を免れ得ることとなります。
2 もっとも、阪神・淡路大震災ほか、震度6以上の地震が散発している昨今、震度6以上の地震が予測不可能とはいえないとも考えられますので、「震度5・震度6基準」が東日本大震災にも妥当するかどうかについては慎重な考慮が必要です。瑕疵があったか否か、すなわち、「当該瓦、ブロック塀、マンションの外壁又は墓が、その当時発生することが予想された地震動に耐え得る安全性を有していたか否か」を個別具体的に検討する必要があるでしょう。その際、建築基準法、宅地造成等規制法等の基準を充たしているかも確認すべきです。
3 なお、今回の東日本大震災のために瓦、ブロック塀、マンションの外壁又は墓等が倒壊する危険が現実化していたにもかかわらず、それらを放置して二次被害が発生した場合には、工作物責任を問われてしまいますので、早めの補修をお勧めします。
また、Q2-1【所有建物の損壊に伴う建築業者に対する損害賠償請求】の項も参照してください。 -
1-2【建物内部の崩壊による怪我】
スーパーで買い物をしていました。地震によりスーパーの天井や看板が落下し、全身打撲の怪我を負いました。損害賠償はできますか。
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1 建物の中で怪我をした場合にも、上記(Q1-1【瓦、ブロック塀等による破損】と同様、土地工作物責任(民法717条)の問題となります。上記「震度5・震度6基準」を参考にすれば、看板や天井が震度5に耐えられる安全性を有していたかどうかを、看板や天井の取付方法や管理方法等諸事情を総合的に考慮して決することとなります。その結果、看板や天井がその当時発生することが予想された地震動に耐え得る安全性を欠いていると判断される場合、損害賠償義務が発生します。もっとも、仮に震度6以上のため不可抗力として免責されるとしても、全身打撲の怪我に鑑み、スーパー側が自発的に補償をすることも考えられますので、まずは交渉してみてはいかがでしょうか。
2 スーパーが店舗建物を所有しているのではなく、賃借している場合には、スーパーは損壊した建物の占有者ということになります。従って、スーパーが損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたと認められる場合には責任を負わず(民法717条1項但書)、上記の請求は建物の賃貸人である所有者に対して行うことになります。 -
1-3【失火】
私の自宅裏に設置していた灯油タンクが地震のために破損したため引火して、私の自宅だけでなく隣近所数軒に延焼し焼失させてしまいました。この場合、私は隣近所の方から損害賠償請求されるでしょうか。
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隣近所の方から損害賠償請求される可能性があります。
民法717条の工作物責任と失火責任法との関係が問題となり、学説・裁判例も分かれていて難しい問題点が含まれます。このような場合には、瑕疵ある工作物から直接生じた火災については民法717条の工作物責任が適用され、その火災から延焼した被害については、工作物の設置・保存の瑕疵が所有者の重過失による場合は失火責任法が適用されることになると考える説が有力ですので、灯油タンクに瑕疵があると認められる場合には、延焼について賠償責任が生じる可能性もあります。 -
1-4【行政庁への責任追及】
県や市町村の災害救助の対応に遅れがあったために、私の家族は土砂崩れの現場から救出できず死亡してしまったと思うのですが、これを県や市町村に対して責任を追及できるでしょうか。
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今回のような広範囲で大規模な災害が起こった場合、県や市町村の災害救助の対応部署自体が被災している場合もあり、被害の実態を把握するのに時間を要した場所も多かったと思われますので、行政の対応の問題を追及するのは、個々の具体的事情によると思います。たとえば、国が管理する崖等が予想される震度以下の地震で土砂崩れが起こった場合等は、国賠請求として責任追及のできる場合があります。
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1-5【自力救済】
大切にしていた高価な飾り物が、津波で流され他人の土地中の瓦礫の中にあります。自力で取り戻してもよいのでしょうか?
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自分の所有物としてすぐに取り戻したい気持ちは分かりますが、他人の土地に勝手に入ることは、最悪の場合、住居侵入等(刑法130条前段)に該当する可能性も否定できません。また、弁護士としては、本当に相談者の所有物か不明であるにもかかわらず、取戻しを可能であると回答すると、窃盗(刑法235条)に荷担することにもなりかねませんので、注意が必要です。ただ、放置しておくと紛失しかねないという状況であれば、本人の責任において、念のため中立の第三者の立ち会いの下でその物を回収してきて、異議が出ないかどうか様子を見るという方法が考えられます。
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1-6【救助要請の見過ごし】
地震による津波から逃れて避難所へ急ぐ途中、倒壊した塀の下敷きになった人から「助けてくれ。」と呼び止められました。助けてあげたいと思いながらも、津波が近くまで来ていたため、自分が逃げることで精一杯だったので、助けずに逃げてしまいました。私が助けてあげれば、その人は生きていたかもしれないと思うと、大変後悔しています。私は、刑事上、民事上、何らかの責任を負うのでしょうか。
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基本的に、刑事上も民事上も法的に何らかの責任を負うことはありません。
ただし、救助を求めた人があなたと一定の関係のある人の場合には、刑事上・民事上の責任を負う可能性があります。たとえば、自分の子供については保護責任者遺棄致死罪が、自分の会社の従業員の場合には使用者として被用者に対する安全配慮義務に基づく損害賠償責任が成立する可能性があります。 -
1-7【避難時の突倒し】
地震による津波が押し寄せてきたため、車で高台に避難している最中に、車の進路をふさぐように立っていた人がいたので、当たるとわかっていながら突き倒してしまいました。その人は、その事故のせいで亡くなったと後日聞きました。私は何らかの責任を負うのでしょうか。
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刑事上・民事上の責任を負う可能性があります。
刑事上、車で人をはねて死亡させた場合、自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)に問われますが、本件のような場合、緊急避難が成立して、刑事上の責任を免れるかが問題となります(Q2-5【隣家に対する損害賠償責任】参照)。ただ、緊急避難の要件はかなり厳しいため、緊急避難が成立する可能性は低いと言わざるを得ません。
仮に、刑事上、緊急避難が成立して刑事上の責任が免れたとしても、民事上、不法行為に基づく損害賠償請求がされることになります。ただし、被害者の過失の有無により過失相殺の可能性はあります。 -
1-8【ボランティア活動中の怪我】
ボランティア活動に参加し、リーダーの指示に基づき、地震で半壊した建物の中に入り、被災者から依頼されたアルバムを探していたところ、余震がきて、建物がさらに崩れて柱に手を挟まれて骨折してしまいました。ボランティア団体や指示をしていたリーダーに対して治療費等を請求することはできますか。アルバムを探して欲しいと依頼した被災者に対してはどうですか。
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ボランティアとボランティア団体の間には、ボランティアという労務を無償で提供する契約が締結されていることになります。裁判例は、直接契約関係にない場合でも事実上指揮監督を受けているときは安全配慮義務があるとしていますので(最判平3・4・11判時1391・3)、本件のような関係においても、ボランティア団体が、故意・過失により安全配慮義務を怠ったと認められる場合は、ボランティア団体に対して損害賠償請求ができると考えられます。
また、指示していたリーダーに対しても、リーダーの指示が故意又は過失によるものであった場合には、不法行為に基づく損害賠償責任を追及できる可能性があります。
なお、被災者に対する請求は難しいと思われます。被災者との間には契約関係がありませんから、上記のような安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求はできません。また、被災者が建物の所有者であるということで、土地の工作物責任を追及することも考えられますが、本件については、既に半壊している建物であることを前提にボランティア活動を行っていますので、その建物の設置・保存についての瑕疵に基づく責任を認めるということは難しいと思われます。 -
1-9【工場等からの有害物質】
今回の地震による津波によって近くの化学工場から有害物質が県道に流出してしまい自宅の庭にまで入ってきて残ってしまいました。どのような手段をとることが可能でしょうか。
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まず、有害物質の流出・残置に対して汚染除去を求めることが考えられます。ただ、妨害の原因が不可抗力である場合には物権的請求権は生じないとする判例がありますので(大判昭12・11・19民録16・1881)、不可抗力だと判断された場合などは汚染除去を求めることができない場合があります。ただ、そのような場合でも、特別法(水質汚濁法14の2、毒劇法16の2・22(4)、消防法16の3)によって、有害物質についての応急措置や行政への連絡が義務づけられていますので、地方自治体に相談し、汚染を除去するよう指導を求めてください。
また、自ら汚染除去費用を出したり、有害物質によって健康被害等の損害が生じた場合には、工場を操業している会社等に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できるかですが、これは、当該会社に対して工作物責任を問えるかの問題となりますので、損害賠償が認められるかはそれぞれの具体的事情によります。 -
1-10【公共料金の支払】
地震によって、電気・ガス・水道が2週間以上ストップしてしまいました。その間の使っていなかった日数分については料金免除して欲しいです。また、現在、勤務していた会社の津波で流されて仕事が出来ないため収入がないので、今後の支払についても待っていただきたいのですが、猶予してもらえるものでしょうか。
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電気料金(東京電力・東北電力)については、震災で被害を受け、災害救助法が適用された自治体やその周辺の地域を対象に、電気料金の支払いを延長するなどの措置をとっており、こうした地域の方々が他の地域に引っ越した場合にも、引越し先の電力会社で引き続き、特別措置を受けることができ ます。詳細については、各社のホームページ等から確認して下さい。
ガス料金についても、資源エネルギー庁が、災害救助法が適用された市町村において被災したガスの需要家等がそれぞれの供給区域内又は他の供給区域の公営住宅等に移転する場合等の特別措置の認可を行いましたので、これにより、被災者からの申請に応じて料金の支払い期限の延長、または免除などの措置がとられています。
水道料金については、各自治体によって、支払い期限の延長や減免の制度がとられていますので、各自治体に問い合せてください。
NTT東日本や携帯電話大手各社(NTTドコモ、ソフトバンク、AU)は、被災した人たちの料金の支払い期限を延長する措置をおこなっています。ただ、各社それぞれの対応ですので、それぞれの会社に問い合わせをして下さい。 -
1-11【仕入品の扱い】
スポーツ用品店を経営しています。仕入れたスポーツ用品が店ごと津波で流されてしまいました。支払債務は免れないのでしょうか。ただ、仕入れ先とは今後も継続的に取引をしたいため、良好な関係を維持したいです。
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当該スポーツ用品の仕入れに関する契約書に特別な規定がない場合には、スポーツ用品が仕入れられているため、給付が完了していますので、危険負担の問題にはならず、支払債務を免れることはできません。
しかし、今回の大震災の影響ということで、仕入れ先と支払の延期や分割払いについて交渉の余地はあると思われますので、協議をしてみてはいかがでしょうか。 -
1-12【売買契約と事情変更】
震災前に船を購入する契約をしていました。震災がありましたが船は無事とのことでした。しかし、お金がなくなってしまったのでできれば売買契約を解除したいのですが、可能でしょうか。
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この場合、契約上に特別な規定がなければ、契約を解除する事由はないと思われます。(もし手付解除の規定があり、履行の着手前であれば、手付金を放棄することにはなりますが、解除して代金の支払いを免れることにはなるでしょう。)
あとは、事情変更による解除ができるかどうかが問題となります。同法理の一般的要件としては、(1)契約成立当時その基礎となっていた事情が変更すること、(2)契約締結後の事情の変更が、当事者にとって予見することができなかったこと、(3)事情変更が当事者の責めに帰することができない事由によって生じたものであること及び(4)事情変更の結果、当初の契約内容に当事者を拘束することが信義則上著しく不当と認められることが挙げられています(谷口知平ほか編『新版 注釈民法(13)債権(4)』(有斐閣、平成8年)69頁、最判昭29・2・12民集8・2・448、最判平9・7・1民集51・6・2452参照)。しかし、判例上、事情変更の原則自体は認められているものの、その適用には厳格な姿勢がとられています。このため、今回の大震災によったとしても、事情変更の原則が適用されない可能性が高いと言わざるを得ません。
事情変更の原則が適用されない場合、代金支払義務は免れません。もっとも、今回の震災の影響として資金繰りが困窮したことは売主にも理解してもらえるでしょうから、支払時期の延期、分割払い、一部減免等を交渉すべきでしょう。 -
1-13【輸送契約】
運送会社を経営しているのですが、今回の地震によって、運送経路の道路が通行止めになり、依頼された商品の輸送ができませんでした。この場合の契約関係はどうなりますか。
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今回の地震によって、北関東から東北地方にかけての高速道路や一般道が大きな被害を受け、一時期、物の輸送が完全に閉鎖されるような状況となっていました。このような場合、運送会社には予定していたルート以外のルートを探索して運送すべき義務があるといえますが、予定していたルートを利用する場合と比較してあまりに多大な費用がかかる特別のルートを探索して利用しなければならない義務まではないと考えられます。従って、これによる輸送の遅滞は不可抗力によるものと解され、遅滞の責任を負うことはありません。この場合、道路が復旧してから商品を輸送し代金を支払ってもらうことになります。
ただし、商品の種類によっては復旧を待って輸送したのでは目的を達することができなくなり、履行不能と場合もあり得ます。この場合も、大震災という不可抗力による履行不能と解され、債務不履行による損害賠償責任は負わないと考えられますが、代金の支払いを請求することはできません(民法526条)。 -
1-14【通勤定期券の払戻し】
毎日、電車で通勤していましたが、今回の地震による津波で線路が流されて電車の運転の目途がたちません。今後は車通勤をするしかないのですが、地震の前日に6か月定期を購入したばかりですので、この定期券を払戻ししたいのですが、できるのでしょうか。
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旅客と鉄道会社との間の契約関係は、各鉄道会社の「運送約款」に規定されており、その約款の内容に基づき払い戻すことができます。しかし、かかる約款がない場合でも、危険負担における債務者主義から、原則、震災によって電車等が運行不能になった場合には定期券の残りの期間に応じて払い戻してもらえると考えられます。
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1-15【倉庫契約】
港近くの倉庫業者に荷物を預けていたところ、今回の大地震による津波で荷物が倉庫もろとも流されてしまいました。倉庫業者に対して、何らかの責任を追及できるでしょうか。荷物が津波によって流されたのではなく、地震のために倉庫内に積み上げられていた荷物が崩れて内部が破損してしまった場合はどうでしょうか。
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「標準倉庫寄託約款」40条1項では、地震(津波)によって生じた損害については倉庫業者(受託者)は荷物等預けた人や会社(寄託者)に対して責任は負わないと規定されていますので、原則として倉庫業者に対して損害賠償等の請求はできません。この場合、荷物に地震保険がつけられていれば、保険金を請求することは可能です。
しかし、地震によって倉庫内の荷物の積み方に問題があったために崩れて内部が破損してしまった場合のように、倉庫業者に荷物の保管について善管注意義務違反がある場合には、善管注意義務違反に基づく損害賠償請求ができます。商法617条では、倉庫業者側が注意義務を怠らなかったことを立証しない限り、預けた物の滅失・既存について損害を賠償する責任を負うことになっています。 -
1-16【旅行契約のキャンセル】
宮城県に旅行に行く予定をしており、気仙沼市内のホテルに予約を入れていましたが、今回の地震でホテルが津波で流されてしまいました。ホテルの予約をキャンセルしたいと考えていますが、キャンセル料はかかるのでしょうか。旅行会社のツアーを予約していた場合はどうでしょうか。
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国際観光ホテル整備法に基づく「標準宿泊約款」6条2項では、宿泊客がその責めに帰すべき事由により宿泊契約の全部又は一部を解除した場合に違約金(キャンセル料)が発生するとされています。そのため、当該ホテルが地震による津波の被害を受けたことが原因でキャンセルする場合には、宿泊客側の責任ではありませんので、違約金(キャンセル料)を支払う必要はありません。
旅行会社のツアー旅行の場合ですが、国土交通省観光庁長官が旅行業法に基づき定めた「標準旅行業約款」では、旅行者は、天災地変が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいときには旅行開始前に取消料を支払うことなく契約を解除することができると定められていますので、本件のような場合は、キャンセル料を支払わずにキャンセルすることができます(募集型企画旅行契約の部16条2項3号)。 -
1-17【月謝等の扱い】
ダンス教室を経営しています。震災のため、やむなくレッスンを休みにしました。月謝は返却すべきでしょうか。
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危険負担の問題となります。不可抗力によるレッスン休講の場合は、危険負担の債務者主義(民法536条)により、レッスンを行う債務を負担するダンス教室側が危険を負担することとなります。このため、受講生は休講に対応する分の月謝を支払う必要がありませんので、当該月謝の返還を請求された場合には、応じるべきでしょう。もっとも、実際には、レッスンの振替開催や別のサービスの提供を提案することにより対応するということも考えられます。
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1-18【悪徳商法全般】
地震に便乗した悪徳商法にはどのような商法があるのでしょうか。また、このような悪徳商法には、どのように対応すればいいのでしょうか。
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1 訪問販売による方法
震災による家屋の修繕や屋根瓦の葺き替えの役務の提供、震災によって品薄となっている生活必需品等を高額な代金で購入させるという方法も多く見られます。
また、消防署やガス会社、水道会社等の公共団体からきたと名乗って、無料点検をすると言って点検をした後で不必要な商品等を購入させるという方法が多く見られます。有名な公共団体や会社に類似もしくは関連するかのような紛らわしい名前を使用したりすることもあるので注意が必要です。
必ず相手に身分証明書等を提出させて身分を確認し、契約の前に当該会社や当該公的機関に点検や訪問販売の事実を確認したり、弁護士会や消費者センター、場合によったら最寄りの警察に相談するようにしましょう。
2 義捐金詐欺
報道等で名の知れた団体名等を使用して、自宅を訪問して義捐金を募るケースも多いです。また、自宅に電話を架けてきて寄付を募る場合もありますので、すぐに送金等をせずに、消費者センター等に相談して詐欺ではないとはっきりしてから振り込み等を行うようにすべきです。
3 今回の震災では、独立行政法人国民生活センターにより「震災に関する悪質商法110番」という相談窓口が開設されています。
(電話番号0120-214-888 毎日10時から16時まで) -
1-19【公示による意思表示】
郵便物を発送後に地震が発生して相手方に到達しない場合、その郵便物で主張した意思表示について効果は発生するのでしょうか。また、相手方が地震によって行方不明の場合の意思表示はどのようにすればよいのでしょうか。
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意思表示の効力発生は原則として到達主義(民法97条)ですから、例外的に発信主義が適用される場合でない限り、郵便物が届かないとその効果が発生しません。
意思表示の相手方が行方不明の場合には、公示の方法による意思表示を行うことになります。具体的には、公示送達に関する民事訴訟法の規定に従って裁判所の掲示板への掲示等を行います(民法98条)。
法定(もしくは約定)期間内に意思表示をする必要があるような場合で、地震等のために郵便事情が悪化して到達できないときに関するものとして、民法161条は、「時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」と規定しています。その他手形法54条及び小切手法47条も参考にしてください。 -
1-20【債務不履行】
今回の地震による津波により工場が全壊し、在庫商品もすべて流れてしまったため、納期に商品を納品することができません。この商品は他の工場や他社でも一切製造していません。このような場合、債務不履行責任を負うのでしょうか。また、種類債権の調達義務はどのような場合でも生じますか。
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工場で生産している商品ということなので、不特定物(種類債権)であると考えます。この場合、債務者は同種の商品を市場で調達できますから、債務者に調達義務が生じ、履行不能とはなりません。
今回のような大震災の場合、債務者が被災したり、部品の調達に多額の費用を要する等履行すべき商品を調達することが著しく困難となることも多いと思われます。債務者やその地域一体が被災して取引活動ができなくなったような場合、履行の遅延が不可抗力によるものとして、履行遅滞の責を負わないと考えられます。また、道路や輸送手段の被災による物理的原因や、原発を理由とする行政上の措置による避難指示等により納品が不能又は著しく困難となった場合も同様に考えられます。