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第四十回渋谷法律相談センターコラム「あなたに似た人」

数年前に相続に関する税法である相続税法が改正され、相続税が課税される遺産の範囲がかなり拡がった。また、今般、親族や相続に関する民法も大幅改正された。

そういえば、昨今相続に関する相談が多くなったような気がする。

そりゃそうである。急速な高齢化で、団塊の世代が後期高齢者に突入せんとする時代である。(総人口1億2617万人のうち65歳以上3588万人、75歳以上2715万人/2019年9月15日現在)税務や法律も急速な高齢化に備えているということかも知れない。

司法統計によると、全国の家庭裁判所に申し立てられた遺産分割の件数は、平成12年度は8889件、同15年度は9296件とこのころはまだ1万件に達していなかった。ところが、平成20年度には10202件、平成25年度には12263件となり、その後平成29年度まで12000件台が継続し、昨年平成30年度は13040件の遺産分割事件が申し立てられたそうである。(15年間で約1.4倍)

このような状況からすると、遺言書作成の必要性や認知症に備えた任意後見制度の利用が唱えられる背景が理解できる。実際、公証人作成の公正証書遺言の作成件数は、平成19年は7万4000件余りであったところ、10年後の平成29年には11万件余りと、10年間で約1.5倍となったそうである。

このように、数字の側面から遺言書作成や任意後見制度利用などに関心を寄せていただければ幸いである。

ところで、遺産分割と言えば、ほかにも相続人がいる共同相続が原則であり、大概は兄弟姉妹間の相続争いということになる。

そして、弁護士としては、通常、当事者の共同相続人の一方から依頼を受け事情を聞くのであるが、すでに紛争になっているのであるから、そこでは相手方である他の兄弟姉妹の悪口のオンパレードとなることが、残念ながらとても多い。実際、遺産分割は、感情面の争いに帰着することが殆どである。

ところで、当事者は、兄弟姉妹という親から共通のDNAを引き継いだ者同士である。だから、性格や考え方あるいは価値観においても、同一とまで言わないまでも類似している場面がかなり存在する。(もちろんそうでないこともあるが。)

そうすると、弁護士が第三者として端から見たり聞いたりしていると、相談者ご本人の相手方に対する評価(あるいは悪口)は、相談者ご自身に対するものであるように感じてしまうことが多々あるのである。

兄弟姉妹間で遺産分割の争いがあるとき(あるいは、争いになりそうなとき)、紛争当事者の兄弟姉妹間の似ているところ、異なっているところ、を分析すると、何か紛争解決の糸口になるものが見つかるのではないか、と思う昨今である。