• 2014.03.25
  • 声明・決議・意見書

集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲についての会長声明

 我が国の政府は、1981年5月29日の政府答弁において、憲法第9条が戦争放棄(第1項)、戦力の不保持と交戦権の否認(第2項)を規定していることを前提として、集団的自衛権について、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないのにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義した上で、「我が国が、国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」旨の見解を表明し、この政府見解は、その後30年以上にわたって一貫して維持されてきた。
 しかし、政府は、憲法改正手続を経ずして、内閣の閣議決定により、従来の政府見解を変更して、我が国による集団的自衛権の行使を容認しようとしている。かかる重要な問題は、本来は憲法改正を発議して国民に問うべきものである。少なくとも、極めて重い決断であることを覚悟し、大多数の議員や国民に賛同が得られるよう慎重に且つ真剣に民主主義の理念に則り議論したうえで結論を出すべきものである。
 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士・弁護士会として、現段階において内閣の閣議決定により解釈改憲することについては反対する。

2014年(平成26年)3月25日
            第一東京弁護士会 
会長  横  溝  髙  至

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