• 2013.11.27
  • 声明・決議・意見書

特定秘密保護法案の衆議院可決に抗議する会長声明

 当会は、平成25年10月1日、特定秘密の保護に関する法律案に関し、行政機関の長によって指定される「特定秘密」が、真に我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある事項に限定されるという制度的保障があるとはいえず、国民の知る権利を不当に侵害するおそれが強いとして、同法案の成立に強く反対する会長声明を公表した。
 その後、本法案については、報道機関を始めとして各界より同様の危惧が多く出され、現時点では、大多数の国民は本法案の成立に反対しているといっても過言ではない。このような状態であるから、本法案については、十分な審議を尽くし、国民の理解を得られる形でその成立の可否を決すべきであり、拙速は厳に慎むべきである。しかるに、自民党、公明党及びみんなの党は、平成25年11月26日午前、衆議院国家安全保障特別委員会において、修正案の審議をほとんど行わないまま採決を強行し、同日夜に衆議院を通過させた。

 本法案においては、行政機関の長の恣意的適用のおそれがあるとの批判を受け、法律の適用にあたり国民の基本的人権を不当に侵害するような拡張解釈を禁止することに加えて、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない。」との修正、また、特定秘密の指定等に関する基準案の策定について、内閣総理大臣が有識者の意見を聴いた上、閣議決定を求めるとの修正、上記基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを検証、監察するための新たな機関の設置を検討し、所要の措置を講ずるとの修正をそれぞれ行っている。
 しかしながら、本法案が国民の知る権利を排除する立法である以上、その秘密指定については、国家安全保障上、真に必要なものに限定される制度的保障が必要不可欠というべきであるところ、報道の自由等に対する配慮がなされているか否かは行政機関の長が判断するものであるし、特定秘密の指定等に関する基準に有識者の意見が反映される保証はなく、また、この有識者が適切な意見を出す保証もない。さらに、上記のような基準を検証、監察する新たな機関が、独立した第三者機関になるのか不明であるし、そもそもそのような機関が設置されるかどうかも不明である。
 したがって、本法案について上記のような修正がなされたとしても、相変わらず国民の知る権利の制限を最小限にするような制度的保障があるとは言い難い。
なお、本法案においては、報道機関等の取材行為について、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとするとの条項も加えられたが、これは当然のことを規定したにすぎず、本法案の成立により、特定秘密に指定された事項に関する取材活動が不当に抑圧されるおそれが強いことに変わりはない。

 以上のとおり、当会は、本法案について国民の理解を得られるだけの十分な審議が尽くされておらず、かつ、国民の知る権利の制限を最小限にするような制度的保障も手当てされないことから、本法案の成立に強く反対するものである。

以上

2013年(平成25年)11月27日
            第一東京弁護士会 
会長  横  溝  髙  至

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