• 2013.03.25
  • 声明・決議・意見書

生活保護基準引き下げに反対する会長声明

 政府は、平成24年8月17日に「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定し、社会保障分野においても、生活保護の見直しをはじめとする合理化・効率化に最大限取り組むことを明らかにした。
 そして、厚生労働大臣は、社会保障審議会生活保護基準部会が本年1月18日にとりまとめた報告書を受け、生活保護支給額を全体として引き下げる考えを表明し、政府は、本年1月29日に、生活保護基準の引き下げを前提とした来年度予算案を閣議決定した。本年2月28日には当該政府予算案が国会に提出され、現在審議中である。
  しかし、生活保護は、憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を具現化した最後のセーフティネットであり、生活保護基準は当該生存権保障の水準を具体化するきわめて重要なものである。
 さらに、生活保護基準は、地方税の非課税標準、国民健康保険料・同一部負担金の減免基準、介護保険の保険料・同利用料、障害者自立支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金の貸付対象基準、保育所の保育料の免除対象基準や就学援助の給付対象基準など、医療・福祉・教育・税制における多様な施策の適用基準に連動しており、また、最低賃金とも連動するものであるから、生活保護基準の引き下げは、生活保護制度の利用者に深刻な影響を与えるのみならず、国民の生活全体に広範な影響を与えることとなる。
 かかる生活保護基準の重要性からすれば、その引き下げの可否は、広く市民や生活保護制度の利用当事者の意見等を聴取し、十分に検討した上で慎重に決せられるべきであるが、引き下げの根拠とされる社会保障審議会生活保護基準部会による報告書は、生活保護の捕捉率の低さを考慮せずに検討が行われており、不十分な内容であると言わざるを得ない。
 当会としては、このような財政目的の安易かつ拙速な生活保護基準引き下げは、到底容認できるものではなく、来年度予算案の審議においてはより慎重な審議を求めるものである。

2013年(平成25年)3月25日
第一東京弁護士会 
会長  横  溝  髙  至

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