• 2011.04.14
  • 声明・決議・意見書

取調べ全過程の可視化を求める会長声明

 2011年3月31日、法務大臣の私的諮問機関である「検察の在り方検討会議」(以下、「検討会議」という)から、同大臣宛に「検察の再生に向けて」と題する提言(以下、「本件提言」という)が提出された。これを受けて、4月8日、江田法務大臣は、検事総長に対し「検察の再生に向けての取組」を指示した。
 本件提言の内容は、弁護士会が必要不可欠であると指摘していた取調べ全過程の可視化の具体的制度化が盛り込まれず、これを先送りしている点で不十分であると言わざるを得ない。
取調べ及び供述調書に過度に依存した刑事手続の問題点については、つとに弁護士会が指摘をしていたところであるが、いわゆる厚生省元局長無罪事件で明らかになった検察官による証拠隠滅等の捜査の病理的問題は、従来の議論を超えて、取調べ全過程の可視化の即時の必要性を基礎づけるものであった。
 本件提言は、「取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方を抜本的に見直し、制度としての取調べの可視化を含む新たな刑事司法制度を構築するため、直ちに、国民の声と関係機関を含む専門家の知見とを反映しつつ十分な検討を行う場を設け、検討を開始するべきである。」と述べ、法務大臣は、上記の「検察の再生に向けての取組」の指示において、原則として、取調べ可視化の試行指針上対象となりうる全事件において試行を行うこと、及び、取調べ全過程の録音・録画を含めて試行の対象とすることを指示した。
 しかし、取調べ全過程の可視化は、早急に具体化され制度として確立されなければならないと共に、検察のみならず、警察における取調べにおいても即時に実現されなければならない。
 当会は、違法不当な取調べによる虚偽の自白を防止し、えん罪を根絶させるために、取調べの全過程における可視化を可及的速やかに実現するよう求めるものである。

2011年(平成23年)4月14日
第一東京弁護士会
会長 木津川 迪洽

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