• 2010.03.29
  • 声明・決議・意見書

足利事件再審無罪判決に関する会長声明

 宇都宮地方裁判所は、平成2年5月に栃木県足利市で発生した幼女誘拐、殺人、死体遺棄事件(足利事件)の再審請求事件において、このたび菅家利和さんに対し、無罪判決を言い渡した。
 本件判決においては、有罪の決め手となったDNA鑑定の結果や実施方法に誤りがあるとして、その証拠能力を否定したのみならず、菅家さんの捜査段階及び公判廷における自白の信用性を完全に否定し、虚偽であることが明らかであると断定した。ここに、菅家さんの完全な無罪が宣明されたのである。検察官も上訴権を放棄し、平成3年12月の逮捕以来、実に18年余りの長い期間を経て、菅家さんの名誉が完全に回復された。
 判決宣告の後、裁判官が菅家さんに対して、謝罪したことは評価することができるが、それにとどまらず、このような冤罪を招いた捜査手法や刑事裁判手続に関して、虚偽の自白を迫った捜査官だけでなく、すべての司法関係者が真摯に反省すべきである。誤判の原因を究明するために、刑事司法に携わる関係機関とは独立した第三者機関を設置し、徹底的な検証作業を行うべきものと考える。
 再発防止策として、取調べの全過程の録画・録音を実現することは急務である。供述調書の作成過程が事後的に、正しく、客観的に検証する手段が存在すれば、多くの冤罪を防止することができた。取調過程の全面的可視化は、これを実現するために最も適切な手段であることは言うまでもない。
 当会は、取調べ全過程の可視化等冤罪を招く恐れがある捜査手法や裁判手続の抜本的な改革を実現するために引き続き全力を尽くすとともに、今後、菅家さんが穏やかで幸せに満ちた生活を送られるよう心から願うものである。

2010年(平成22年)3月29日       
第一東京弁護士会 
会長 田中  等

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