• 2004.08.24
  • 声明・決議・意見書

司法修習生に対する給費制の堅持を求める声明

 司法制度改革推進本部法曹養成検討会は、本年6月15日に開催された第23回検討会において、司法修習生に給与を支給する制度(給費制)を廃止し、貸与制を導入する方向で意見の整理を行った。
 司法制度を通じて国民の権利を公正に実現し、社会正義を具現化するという法曹の使命の重要性・公共性に鑑み、わが国では、司法試験合格後、合格者を直ちに実務に就かせず、さらに司法修習を課すことによって、高度の専門的能力と職業倫理を兼ね備えた質の高い法曹を養成する制度がとられている。そして、司法修習生に、兼業の原則禁止をはじめとする厳しい修習専念義務を課す一方で、その生活を保障するためこれまで給費制がとられてきた。これにより法曹資格は貧富の差を間わず広く開かれた門戸となり、多様な人材が、裁判官、検察官、弁護士として輩出されてきたものである。

 また、給費制は、現行司法修習制度の下、法曹、とりわけ弁護士の公共性を制度的に担保する役割を歴史的に果たしてきた。当番弁護士制度、法律相談センター事業、過疎地における公設事務所の開設など弁護士・弁護士会による各種の公益活動を支える弁護士の使命感は、給費制の現行司法修習によって醸成されたものである。

 さらに、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の下においては、大学卒業後、さらに法科大学院に2年ないし3年間在学することが必要とされ、法曹を志す者は司法修習生となるまでに多大な経済的負担を強いられることになる。そのうえ、司法修習生に対する給費制が廃止されるならば、さらなる経済的負担の増大は避けられない。

 これまでの検討会の過程で、貸与制への移行を前提として、任官者について貸付金の返済を免除する制度の適否が議論された。しかし、この様な制度は、実質的には任官者についてのみ給費制を維持することに等しく、法曹三者の統一・公平・平等の理念に基づく司法修習を変質させ、法曹の在り方に重大な影響を及ぼすことになりかねない。
 給費制を廃止することは、法曹養成・司法修習制度の根幹を揺るがすものであり、21世紀の司法を支えるべき人材が経済的理由によって法曹の道を断念するような事態を生じさせないためにも、給費制は堅持されなければならない.
 よって、当会は、貸与制の導入に反対し、給費制の堅持を強く求めるものである。

以上のとおり声明する。
2004(平成16)年8月24日

第一東京弁護士会
会長  東谷隆夫

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