• 2003.04.25
  • 声明・決議・意見書

国選弁護人の報酬引下げに反対し、増額を求める会長声明

 国選弁護人の報酬額は、平成12年度から地方裁判所における標準的事件(3回開廷)については、金86,400円とされ、その後2年間据え置かれていた。ところが本年度政府予算においてはこれが引き上げどころか、逆に金85,600円に引き下げられた。

 我が国においては、刑事事件の7割以上を国選弁護事件が占めており、刑事裁判におけるその重要性は言うまでもない。日本弁護士連合会の試算によれば、標準的事件における適正な国選弁護人報酬は200,000円とされている。国選弁護制度そのものが国選弁護人の犠牲のうえに成り立っていると言って過言ではない。

 このように国選弁護人に犠牲を強いる国選弁護制度は、被告人に対する十分な弁護活動を抑制し、ひいては被告人の弁護人選任権を侵害するものと言わなければならない。

 平成16年通常国会において、被疑者段階の公的弁護も制度化されることが予定されている。国選弁護事件が、現状のように国選弁護人に犠牲を強いる形で続けられ、更に万一被疑者段階の弁護にも不十分な報酬額しか獲得できないようなことにでもなれば、国選弁護人の犠牲を増大させることとなり、国選弁護制度そのものが崩壊することになりかねない。

 当会は、国選弁護人の報酬引下げに反対し、その増額を強く求めると同時に、被疑者段階の公的弁護にも十分な報酬が支払われるよう要望するものである。

平成15年4月25日
第一東京弁護士会
会長  軍司 育雄

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