• 1997.05.29
  • 声明・決議・意見書

国選弁護人報酬の大幅な増額を要望する決議

決議の趣旨
 国選弁護人報酬について、日弁連が第一審標準事件1件あたり金20万円以上を要望していることに鑑み、その大幅な増額のために必要な予算措置を講じられることを要望する。
決議の理由
1. 国選弁護制度は刑事被告人の憲法上の権利である弁護人依頼権を保障する制度であり、現在地方裁判所の刑事事件の6割以上が国選弁護人によって担われている。
2. 国選弁護人に要求される弁護活動は私選弁護人と変わりがないにもかかわらず、私選弁護人の場合と比較して被告人との信頼関係を築くことが困難なことも少なくなく、また家族や知人の協力を得るために格別の苦労を要する場合も多い。
また、弁護活動に必要不可欠な記録謄写代、交通費、通信費などの実費についても、原則として支給されることになっておらず、そのため、国選弁護活動は弁護人の犠牲と負担によって運営されている状態にある。
3. しかしながら、現在の国選弁護人の報酬は地方裁判所標準事件1件あたり金79、100円であり、平成9年度予算でも金81、000円に増額されたにすぎず、弁護士活動の業務性と執務条件に見合ったものになっておらず、国選弁護制度はいわば国選弁護人の使命感と犠牲的奉仕によって運営されていると言っても過言ではない。
4. 日弁連はつとに国選弁護人報酬を第一審標準事件1件あたり金20万円以上とすることを要望してきたが、当会としても日弁連の上記要望を踏まえて、その大幅な増額のために必要な予算措置を講じられることを要望するものである。
5. なお、当会は今後国選弁護活動において第1回公判期日前に記録を閲覧せず、もしくは被告人に接見しない等の不適切弁護を根絶し、国選弁護活動の充実・改善のために努力をする決意を表明するものである。

平成9年5月29日
第一東京弁護士会
会長 中川 了滋

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